神々の塔

「狂人かどうかな」
「そうしますか」
「心の病も病だ」
　それに入るというのだ。
「だからな」
「診察しはって」
「そしてだ」
　そのうえでというのだ。
「治す」
「そうしますか」
「うむ、しかしな」
　それでもというのだ。
「そうした輩の言うことはな」
「信じたらあきませんね」
「狂人の言うことだからな」
　それ故にというのだ。
「戯言以下のものとしてだ」
「信じへんことですね」
「そうだ、そしてだ」
　そのうえでというのだ。
「生きることだ」
「そうすることですか」
「狂人は狂人とわかることもだ」
　それもというのだ。
「大事だ」
「そうなんですね」
「左様、しかし私の予言が起きた世界の日本で大流行してな」
　それこそ社会現象にまでなった。
「定着するとはな」
「思いませんでしたか」
「夢にもな」
　それこそというのだ。
「思わなかった」
「そうでしたか」
「挙句狂人が出るまでとはな」
「何が何でもノストラダムスさんにお話を持って行って」
「影の世界政府だの他の星の知的生命体だの言ってな」
　そうしてというのだ。
「人類滅亡だと常に喚き散らす手合いが出るとは」
「まあ極端な例ですが」
「しかし出るとはな」
　そうした輩がというのだ。
「思わなかった」
「そうでしたか」
「ああした狂人達は入院させるべきだ」　
　ノスロラダムスは真顔で述べた。
「本気で治療させないとだ」
「周りが迷惑しますね」
「本人にとってもよくない」　
　狂気に捉われた本人もというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「入院させることだ、予言は人類滅亡を叫ぶ為のものではない」
「あくまで道標ですね」
「そうしたものであってだ」
　それでというのだ。
「何があっても滅亡と喚き散らすものではない」
「そこをわかることですね」
「そうだ」
　まさにというのだ。
「それがわからなくてはな」
「あきませんか」
「そのことを覚えておくことだ」
　綾乃達に真面目な顔で話した。
「くれぐれもな」
「狂った人は病院に入れて」
「予言は道標であることをな」
「覚えておくことですね」
「よくな、よいな」
「わかりました」　
　綾乃も他の面々も確かな声で頷いた、そうしてだった。