八条学園騒動記
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第七百四十三話 十支族の謎その五
「逞しいけれど」
「完全な裸の」
「あれも違うから」
本来のダビデの姿ではないというのだ。
「まんまギリシア彫刻みたいでしょ」
「ルネサンスだからね」
セドリックはだからだと答えた。
「ミケランジェロさんも」
「古代ギリシアやローマの文化を復興した」
「その時代の人達でね」
「だからそのスタイルもね」
芸術のそれもというのだ。
「古代ギリシアで」
「ダビデさんの外見もだね」
「ギリシア彫刻を意識していて」
そうしてというのだ。
「モデルになった人も」
「当時のイタリアの人で」
「何処の誰かは知らないけれど」
ダビデ像のモデルになった人物はだ、尚この像では割礼の跡がないがユダヤ教徒は絶対にそれを行う。
「それでもね」
「当時のイタリアの人で」
「そうした顔立ちでしょ」
「そうだね」
セドリックもそれはと答えた。
「ラテン系の顔だよ」
「そうでしょ」
「それに」
セドリックはさらに言った。
「連合にも結構多いね」
「ああしたお顔の人はね」
「中南米にスペイン人やポルトガル人が来て」
大航海時代からのことだ。
「インディオや黒人の人と混血して」
「それでラテン系になってね」
「中南米はね」
だから言語がスペイン語やポルトガル語になったのだ、そしてこの時代でもこうした国々では公用語になっている。
「そうよね」
「それで連合中で混血が進んで」
「ラテン系の血もね」
「連合全体に広まって」
「ああしたお顔立ちの人多いわね」
「マヤの巨大な人面岩みたいな顔の人もいるけれど」
セドリックはこちらの人の話もした。
「ああした人達はそちらの血だね」
「インディオのね」
「そうだね」
「まあ混血してるとね」
アンはそれならと話した。
「色々な血が出て」
「それでだね」
「そうした人達もね」
「出て来るね」
「ええ、けれどダビデさんはね」
「あの彫刻とはだね」
「絶対に違うから」
その外見はというのだ。
「本当にね」
「古代ヘブライ人は」
「今の私達だったらいるわよ」
この時代のイスラエル人にはというのだ。
「ああした人はね」
「エウロパだから」
「けれどね」
それでもというのだ。
「本当にね」
「あのお顔はないんだね」
「そうよ、まあ本当にね」
アンは腕を組み微妙な顔になって話した。
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