神々の塔
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第六十二話 緑の迷宮その三
「天然痘はあったわ」
「大流行したな」
「奈良時代にな」
「それでよおさんの人が命落としたな」
「当時の人口の三分の一位って話もあるわ」
そこまで犠牲者が出たとも言われているのだ。
「それで疫病から国を護る為に」
「大仏さん造ったな」
「奈良のな」
この大仏はこの世界にも存在している。
「そうしたんや」
「それだけ疫病は怖いってことやな」
「ああ、ただな」
ここでリーは強い声で言った。
「疫病で国は傾いて大変なことになってもな」
「それでもやな」
「国も人類も滅ぶことはない」
中里に強い声で話した。
「絶対にや」
「それはないな」
「世の中箸が転がっても人類滅亡を絶叫する奴もおるが」
こうした輩は実在する、それこそお昼のお弁当を食べてもそこから何があっても話を人類滅亡に持って行くのだ。
「その中で疫病も出すが」
「影の世界政府とか組織とか宇宙人言うてな」
「電波とかな」
「それで疫病も言うな」
「そやけどな」
そうした輩はそうした主張をするがというのだ。
「けどな」
「実はやな」
「人類はそうしたことではや」
「滅亡せんな」
「そや、必ずや」
「疫病を克服するな」
「そしてそこまで死なん」
滅亡に至るまでというのだ。
「スペイン風邪でもコロナでもそこまで死なんかったな」
「奈良時代の天然痘でもな」
中里は強い顔と声で答えた。
「そやったわ」
「ペストでもコレラでもな」
幕末にコレラが流行しこれが幕末の動向にも影響したという。
「そして結核でも梅毒でもエイズでもな」
「人類は滅亡せんな」
「そうした連中が喚き散らしてもな」
文字通りそうしてもというのだ。
「起きた世界でもこっちの世界でもな」
「疫病では絶滅せえへんな」
「この世界を襲う脅威はまだわからへんが」
「それが何かな」
「そやけど疫病はな」
これはというのだ。
「私としてはや」
「ないと思ってるか」
「そや」
まさにというのだ。
「疫病はないってな」
「そやねんな」
「あるのはな」
それはというと。
「ほんまな」
「他のことやな」
「ああ、しかしこっちの世界でもおるな」
リーは眉を顰めさせてこうも言った。
「箸が転がっても人類滅亡を絶叫する奴が」
「ガチのキチガイでな」
羅も嫌そうに話した。
「おるな」
「ああ、雑誌の編集者とかでな」
「お前正気やないなってのがな」
「それで実際精神鑑定受けさせたら」
「ほんまにそやったしな」
狂人だったというのだ、世の中残念なことにこうした類の狂人もまた存在していて時には入院も隔離もされていないのだ。
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