城の隠し部屋
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第二章
「そうするのが家の者の務めだね」
「そして好奇心からもですね」
「そうだよ、ではね」
「部屋の中をですね」
「調べよう」
こう言ってだった。
アーサーは煉瓦を修繕とではなくどけさせてだった。
部屋の中を調べた、それこそ幽霊が出ても人骨が出てもおかしくないと思っていた。だがそこにあったのは。
古い多くの書物だった、活字印刷も行われていない様なものだったが。
古い紙のそれ等をぱらぱらと読んでだ、彼はチャーリーに言った。
「全部所謂春本だよ」
「そうだったのですか」
「うん、活字印刷もまだの頃の」
「というと手書きの」
「何時の頃か正確にはわからないけれど」
自分ではというのだ。
「専門家の鑑定でもないと」
「そうですか」
「それを隠していた」
「そうしたお部屋でしたか」
「どうやらね、何時のご先祖がね」
「密かに持っておられて」
「隠していて」
隠し部屋にというのだ。
「忘れられたんだね」
「そうだったのですか」
「こうしたものはこっそり持つもので」
当時からというのだ。
「教会も五月蠅かっただろうし」
「それで、ですね」
「隠していたんだ、何かと思ったけれど」
「昔の春本でしたか」
「うん、他には何もなかったよ」
隠し部屋の中にはというのだ。
「別にね。それじゃあ本はどうするかは別にして」
「隠し部屋はですね」
「父さんにもお話して」
そうしてというのだ。
「また煉瓦で隠そうか」
「そうしますか」
「別に何でもなかったしね」
こう執事に言って実際に父に話した、すると父は見付かった部屋ならとその部屋も使うことにした。そして。
春本達は鑑定士に見せるとかなり昔の書物ということでかなりの値段になった、それで家の財産に入れることにした。ただし本の内容が内容なので極秘のそれとなった。イギリスのある城で起こった話である。
城の隠し部屋 完
2024・3・18
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