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城の隠し部屋

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第一章

       城の隠し部屋
 イギリスカンタベリーにあるその古城は古来よりホーク伯爵家の所有物である、今もそうであり昔ながらの趣を残している。
 今ではこの家の別荘の一つで現代の生活を楽しめる様にもなっている、だがこの城に夏に入ってだった。
 家の嫡男であり今は大学に通っているアーサー端正な彫のある上品な顔立ちに茶色のセットされた髪の毛と青い目を持つ長身痩躯でスーツが似合う彼は今城の廊下のある部分が崩れているのを見付けてだ。
 そこから何処かに続いているのを見て同行している家の執事のチャーリー=ブルー初老で黒髪をオールバックにしている黒い目の彼に尋ねた。
「まさかと思うけれど」
「私も存じませんでしたが」
 チャーリーはアーサーにこう前置きして答えた。
「おそらくこれは」
「隠し部屋かな」
「そうかと」
「古いお城にはよくある話だけれど」
「このお城にもあったのですね」
「そうだね、父さんも知ってるかな」 
 現伯爵である彼もというのだ。
「どうかな」
「おそらくですが」
「父さんも知らない」
「そういったものでしょう」
「そうなんだね」
「はい、それでどうされますか」
 チャーリーはアーサーに尋ねた。
「煉瓦を修繕しますか」
「いや、まずは部屋をだよ」
「調べますか」
「こうしたものは調べる」
 城に隠し部屋が見付かればというのだ。 
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