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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その五十九

「近代国家においては特にな」
「近代国家は法律によって動きます」
「古代国家でも法律はありましたが」
「近代国家は古代国家より遥かに法律が強いです」
「法治が基本ですから」
「その近代国家においてはだ」
 その法律がというのだ、当然ながらエウロパも法治国家だ。法律が存在してそこから全てが動くのだ。
「法律は絶対と言えなくともな」
「限りなく絶対に近い」
「そうした存在ですね」
「そしてその法律によってですね」
「カルト教団を断罪してですね」
「潰す、今のうちにそうしてだ」
 潰してというのだ。
「芽を摘んでいく、だが」
「だが?」
「だがといいますと」
「何かおありですか」
「カルト教団はすべからく胡散臭い」
 そう呼ばれる宗教団体はというのだ。
「特に教祖を見ることだ」
「如何にも胡散臭い」
「そうした輩が殆どですね」
「その主張や行動といい」
「そして外見も」
「それで何故騙されるのか」
 カミュは眉を顰めさせて述べた。
「理解に苦しむ場合もあるな」
「はい、確かに」
「そうした組織ばかりですね」
「カルト教団については」
「何故騙されるのか」
 それがというのだ。
「理解不能な場合が実に多い」
「教理は酷いものであり」
「そして教祖も見るからに胡散臭い」
「しかし騙される」
「そうした者が後を絶たないですね」
「人類の歴史がある限りだ」
 まさにそれだけというのだ。
「カルトに騙されるものは減らない」
「そうかも知れないですね」
「どうにも」
「我々が今話している団体もそうですし」
「一目見ただけで胡散臭いとわかります」
「ペテンであると」
「そう思うのが普通でだ」
 それにというのだ。
「極論もだ」
「おかしいですね」
「やけに好戦的なものは」
「それだけでどうかとなりますね」
「エウロパが連合と戦争をしてだ」
 宿敵であるこの国と、というのだ。
「勝てると思っているのか」
「今の時点では無理です」
「残念ではあっても」
「勝てる相手ではありません」
「今の我々では」
「人口は四十倍、総生産は六百倍だ」
 ここまでの差があるというのだ。
「もっと言えば技術は三百年だ」
「そこまで差があってです」
「どうして勝てるのか」
「それで戦争だと言うなぞ」
「有り得ないですね」
「少しいや一瞬でも考えるとだ」
 それこそというのだ。 
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