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第百二十話 客家その一

                第百二十話  客家
 富美子は部活の練習の後ロッカーで着替え終えてから台湾の娘から笑いながらこんなことを言われたのだった。
「実は私客家なのよね」
「ああ、中国の」
「そう、漢民族だけれどね」
「他のところからその地域に来た人よね」
「そうなのよ、台湾にもいるのよ」
 笑って言うのだった。
「あの丸い集落には住んでないけれどね」
「中国にはあるのよね」
「けれど私のお家はね」
「その集落にないのね」
「高雄の方の」 
 台湾の港町である。
「そこの市場にね」
「お家あるの」
「そう、そこで結構大きなお店やってて」
 そうしてというのだ。
「叔父さんが継いでお父さん八条グループの社員さんで」
「あんたはこっちに留学してきたのね」
「そうなの」 
 このことを陽気に話した。
「私はね」
「客家ね」
「知ってたでしょ」
「ええ、ただそれがどうしたのよ」 
 何でもないという顔でだ、富美子は台湾の娘に言い返した。
「あんたが客家で」
「言葉違うのよ」
「ああ、中国語でもね」
「書くものは同じでも」
 漢字であるがというのだ、このことは変わらないというのだ。
「けれどね」
「発音とか読み方が違うのよね」
「そのことも知ってるわね」
「この学園世界中から人が集まるからね」
 台湾の娘に自分達の学園である八条学園の話もした。
「だからね」
「知ってるわね」
「北京語、広東語、上海語ってあるのよね」
「四川語とかね」
「方言よね、要するに」
「それがあってね」
 中国語にもというのだ。
「客家は客家でね」
「方言あるのよね」
「客家語っていうね、それにね」
 台湾の娘は富美子にさらに話した、着替え中であり富美子のピンクの下着も台湾の娘の白い下着も露わになっている。その中でのやり取りである。
「余所者だから」
「移住した先で暮らしている人達から見たら」
「それで色々ね」
「差別されてきてるのよね」
「そうなのよ」
 こう富美子に話した。
「客家はね」
「だからあの円形の外に対して守る様な集落が出来たのよね」
「あれ実は少ないけれどね」
 客家のコミュニティでもというのだ。
「円形の中にあつまる場所があって」
「お家の外側が外への城壁ね」
「そうなってる集落が有名だけれど」
 それでもというのだ。
「それはね」
「実は少ないのね」
「私の家はどうも清代にこっそり移住して」
 実は当時清は台湾に行くことを禁じていたのだ、即ち密航であったのだ。 
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