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ヘタリア大帝国

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TURN51 降伏その九

「この決戦もね」
「それでは」
 イザベラは心で敬礼をして応えた。そうした話をしてだった。
 ガメリカ軍は決戦に備えていた。今そのハワイに太平洋軍の主力が向かっていた。
 その中で秋山が東郷にこんなことを話していた。
「中帝国戦線はそのままですが」
「艦隊は動かしていないか」
「そのまま備えにしています」
「じゃあアラビアだな」
「念の為にです」
 インド洋の国々も全て独立しエイリスの同盟国であるガメリカ、中帝国、ソビエトが承認してはエイリスも奪還に動けない。それでもだったのだ。
「備えとしてです」
「何個艦隊か置いてだな」
「柴神様と首相、それにです」
「山本の爺さんだな」
「その方々にお任せしましょう」
「三個艦隊か」
「少ないでしょうか」
「いや、そんなものだな」
 それでいいと答える東郷だった。
「数としてはな」
「それでいいですか」
「ああ、いいだろう」
 実際にそうだと述べる。
「エイリスもまず攻め込んで来ないだろうしな」
「念の為にもう一個艦隊でしょうか」
「あの魔法使いにも言ってもらうか」
 東郷はあの風変わりな異才のことも話に出した。
「そうしてもらうか?」
「そうですね。彼にも言ってもらいますか」
「これで四個艦隊だな」
「はい、一応は」
「これで充分か」
 東郷は少し考える顔になって秋山に言った。
「そうするか」
「はい、それでは」
「後の全ての艦隊でだ」 
 実際に太平洋軍の主力は全てがハワイに向かっている。東郷もマダガスカルから大艦隊を率いている。しかしその艦隊でもだった。
「何しろその主力全部でもな」
「ハワイに展開しているガメリカ軍と比べますと」
「数は半分だな」
「その程度です」
 数の差は歴然としていた。
「そして艦艇の質もです」
「勝つことは難しいな」
「残念ですが」
 こう答える秋山だった。
「しかし既に作戦は立てていますので」
「あれを実行に移すか」
「はい、そうしましょう」
「では勝つとしよう」
 確かに決戦の時は迫ろうとしている。しかしそれでも東郷はいつもの調子で飄々としている。
 そしてその飄々とした物腰で全軍に告げた。
「皇国の興廃この一戦にあり、勝とう」
「全軍進撃!」
「ハワイに行くぞ!」
 全軍東郷のその言葉に応えてハワイに向かう。ハワイでの決戦が今始まろうとしていた。


TURN51   完


                           2012・9・10
 
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