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ヘタリア大帝国

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TURN51 降伏その七

「その器を見たからな」
「僕に南洋を譲ってくれたんだな」
「そうだ。この戦いに勝ってな」
「それでだな」
「太平洋の盟主になるか?」
「リーダーになって皆を幸せにするぞ」
 この考えは変わらなかった。今ここでも。
「酋長も期待していてくれ」
「そうさせてもらうか。ではな」
「そうだな。それじゃあ僕達の勝利を待っていてくれ」
「うむ、わしはアメリカさんに任せる」 
 目の前にいる今の彼の祖国にだというのだ。
「では武運長久を祈る」
「日本をやっつけたら即座に降伏させるぞ」
「そうそう。まあ一撃で許してあげてね」
 キャロルはそれからのことを笑顔で話す。
「ソビエトと戦ってもらうからね」
「やはりあの国が問題ですね」
「共有主義なんて入れたら大変なことになるからね」
 イザベラにそれでだと話す。
「だからやっぱりね」
「そうですね。あの思想だけは」
「正直日本は太平洋経済圏に必要なのよ」 
 このことはキャロルだけでなくガメリカ全体で理解していた。
「一回やっつけてそれで終わらせる位でね」
「それからですね」
「地位はナンバースリーね」
 太平洋経済圏のだというのだ。
「経済力もそれなりだし。どうしても必要な国の一つよ」
「我が国、中帝国と共にですね」
「太平洋には欠かせない国よ。けれど」
 ここでキャロルはその顔を顰めさせてこの国のことについて言及した。
「ソビエトは違うから」
「共有主義故にですね」
「そう。ただでさえロシアは厄介なのに」 
 そもそもこの国自体が嫌いなキャロルだった。これもガメリカの中では共通していることだ。
「あんなとんでもない思想入れたらね」
「個人資産を否定していますね」
「そう。皆平等だっていうけれど」
「規律も異様に多く」
「ちょっとミスしたら廊下に立たされるのよ」 
 カテーリンは厳しい。些細なことでもそうした罰を課す主義なのだ。
「貨幣もないし」
「少しでも反論すれば」
「そう、言論の自由もないのよ」
 これもソビエトにはなかった。完璧なまでに。
「jカテーリンにちょっとでも言ったらね」
「お仕置きですね」
「そう。やっぱり廊下に立たされたりね」
 とにかくそうしたことが好きなカテーリンだ。死刑にはしないがとにかく立たせたり食事抜きにしたりするのである。
「食べるものだってね」
「三食決まっているそうですね」
「給食でね。国民皆同じものを食べるでしょ」
「ピロシキやボルシチを」
「ロシア料理自体はいいにしても」
 それとは別の問題だった。この場合は。
「三食好きなものを食べられないのよ」
「非常に窮屈な社会であることは間違いないですね」
「そんな国にいたくないでしょ」
「はい」
 これはその通りだった。イザベラにしても。
「当然和食のレストランにも」
「それ全部潰されるから」
「このお店にしてもですね」
「全部給食だからね」
 それでレストランなぞある筈がなかった。到底。
「とにかくそんな国だからね」
「間違ってもですね」
「そう。野放しにはできないから」
「それで日本をぶつけるのですね」
「ソビエトは君主制も否定してるしね」
 つまりそれはというと。
「向こうにとってもあの国はね」
「危険ですね」
「脅威以外の何でもないから」
 それでだというのだ。
「悪い話じゃない筈よ」
「その際ですが」
 イザベラはキャロルにこうも言った。 
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