星河の覇皇
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その四十六
「だから言うのだ」
「警戒すべきである」
「特に強硬な意見があれば」
「そうした団体が後ろにいる」
「そうであったりするので」
「そしてその団体が何処か」
まさに今の話の核心もというのだ。
「私はわかっている」
「ではどうされますか」
「その団体については」
「首相としては」
「その団体の金の流れや労働状況を見るのだ」
そうしたところをというのだ。
「そうすればだ」
「そこで尻尾を掴めますか」
「金の流れですか」
「そこですか」
「先程バチカンのことを話したが」
ローマ=カトリック教会の存在はやはり大きい、伊達にこの時代の人類社会でも人類最大の宗教組織ではない。
「宗教団体についてはな」
「お金ですね」
「そこがどうかですね」
「問題は」
「そこでわかりますね」
「そして何かトラブルがあるとな」
その場合はというと。
「すぐに訴訟をする」
「訴えるのですね」
「名誉棄損だと」
「そう言ってきますね」
「傷付けられたとかな、だがな」
カミュはその整った目を険しくさせて言った。
「宗教家が傷付けられただのな」
「そう言いますと」
「どうもみっともないですね」
「宗教家がそう言いますと」
「それは」
「主が言ったか」
キリストがというのだ。
「何かあって」
「いえ、言っていません」
「聖書にそんな話はありません」
「誰かに抗議したなぞです」
「そんなことはしたことがありません」
「逆に処刑された」
新約聖書ではそうなっている、ただしコーランでは生きている。この辺りは宗教の違いということか。
「パリサイ派によってな」
「そうでしたね」
「ローマが動いて」
「そうしてでしたね」
「そうなった、真の宗教家は些細なことを言われてもだ」
それでもというのだ。
「傷付けられたなぞ言わない」
「名誉棄損なぞとですね」
「言ったりしないですね」
「真の宗教家は」
「左様ですね」
「似非が言う、自分達を批判する者を黙らせる為にな」
このことが訴訟を行う目的だというのだ。
「大抵の人間は裁判なぞ受けたくない」
「左様ですね」
「生活に影響が出ますし」
「前科だの賠償金だのいう話になりますし」
「それで、ですね」
「誰も裁判は嫌がりますね」
「普通はな、それで喜んで受けて立つなぞな」
それこそというのだ。
ページ上へ戻る