金木犀の許嫁
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第七話 同居のはじまりその九
「ああなったらしいわ」
「北朝鮮の軍隊の行進は」
「そうみたいよ」
「そうだったのね」
「もうオリジナルから変になった」
プロイセン軍のアヒル足行進からというのだ。
「そんな行進なのよ」
「成程ね」
「まああの行進もね」
真昼もこの行進について言うのだった。
「おかしいわよね」
「そうよね」
「あの国おかしなことばかりだけれど」
「軍服もそうで」
「行進もね」
こちらもというのだ。
「そうよね、そもそも世襲の共産主義だし」
「本来なら有り得ないしね」
「あそこに生まれたら」
真昼はどうなるかも話した。
「絶望しかないわよ」
「食べ物も自由もないし階級社会で」
「将軍様を賛美するだけでね」
「スマホも何もないわよね」
「そんな国だから」
それ故にというのだ。
「本当にね」
「生まれたら終わりね」
「お寿司なんてね」
今自分達が食べているそれはとだ、鰻を食べつつ話した。
「絶対にね」
「食べられないわね」
「お蕎麦だってね」
その蕎麦を食べている妹に話した。
「ないしね」
「そちらもね」
「あそこは冷麺の国だけれど」
「その冷麺だってね」
「まず普通の人はね」
北朝鮮のというのだ。
「食べられないわよ、ガスも水道も電気もね」
「しょっちゅう止まるかなくて」
「すぐに収容所送りだしね」
「本当に酷い国ね」
「そんな国に生まれたら」
赤ワインを飲んでから話した。
「それこそね」
「終わりね」
「人生自体がね」
まさにというのだ。
「そうよ、そう思うと日本に生まれてね」
「よかったわね」
「少なくともこうしてよ」
「お寿司食べられるわね、お蕎麦も」
「お酒も飲めてね」
「あそこお酒も」
「食べものがまともにないのよ」
そもそもというのだ。
「だったらね」
「お酒にしても」
「それこそ密造した」
「質の悪い」
「メチレンみたいなね」
「終戦直後出回ったっていう」
「そう、メタノールが入ったお酒ね」
エタノールは普通に飲めるがこちらは猛毒である、飲めば失明さらに命を失う危険のある代物である。
「それすらね」
「ありそうなのね」
「意地でも飲みたいと思って」
それでというのだ。
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