金木犀の許嫁

「そこで食べて」
「美味しかったわね」
「うん」
　夜空に微笑んで答えた。
「美味しかった」
「私作られるから」
「長崎ちゃんぽんを」
「冷凍や袋のものだけれど」
　それでもというのだ。
「具をね」
「作られるんだ」
「そう、あと豚骨ラーメンも」
　博多のそれもというのだ。
「今はスーパーとかで売ってるし」
「作られるんだ」
「薬味も用意するから」
「博多ラーメンの薬味は紅生姜」
　佐京は白ワインを飲みながら言った。
「何と言っても」
「他には胡麻とお葱ね」
「うん」
「もやしとチャーシューもね」
　こういったものもというのだ。
「用意するから」
「作ってくれるんだ」
「佐京君達が食べたいっていったら」
　その時にというのだ。
「作るから」
「それじゃあ」
「お願いします、私も好きです」
　白華はカルピスチューハイを飲みつつ言ってきた。
「博多ラーメンも長崎ちゃんぽんも」
「どっちもよね」
「私の舌は関西ですが」
　この地域の味が好みだがというのだ。
「それでもです」
「豚骨も好きなのね」
「大好きになりました、あとです」
「あと？」
「ハウステンボスも大好きです」
　目を輝かせての言葉だった。
「あの場所自体が」
「物凄く楽しい場所よね」
「住めればとさえです」
　そこまでというのだ。
「思っています」
「そうなのね」
「そこまで好きです」
「じゃあハウステンボスの社員さんとか」
「将来の就職はですか」
「どうかな」
「いいですね」
　白華は夜空の今の言葉に顔をうっとりとさせて応えた。
「それもまた」
「そうよね」
「はい」
　まことにというのだ。
「本当に」
「それか佐世保市で働けたら」
　ハウステンボスのある街でというのだ。
「何時でもね」
「ハウステンボス行けますか」
「そうなるわよ」
「それもいいですね」
「それで自衛隊も観られる」
　佐京は微笑んでこちらの話もした。
「佐世保だと」
「アメリカ軍とですね」
「そう、海上自衛隊が」
「セーラー服と黒い詰襟が恰好いいですね」
「夏は白になる」
「白の詰襟が恰好良過ぎます」
　夜空はハウステンボスの話でうっとりとなった顔をそのままにして海上自衛隊についても話した。