星河の覇皇
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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その二十一
「あの絶妙な味はなく」
「もう寄せ鍋ですね」
「そう言っていいですね」
「そうしたものですね」
「はい、ブイヤベースは確かに最初はそうでした」
カミュはブイヤベースについてさらに話した。
「優しいお婆さんの為に漁村の子供達が作りました」
「それぞれ魚介類を持って来て」
「そうして鍋にしましたね」
「それで作りましたね」
「それがブイヤベースでしたね」
「そうです、ですから最初はです」
まさにというのだ。
「寄せ鍋でした、ですが」
「それが形になり」
「そしてですね」
「今に至りますね」
「あの繊細な味になりますね」
「そうです、ですから」
それでというのだ。
「あの様なです」
「適当に作ったものではないですね」
「まさに寄せ鍋ですが」
「本来はああしたものではない」
「左様ですね」
「あの素材を活かさずいい加減な調理の仕方は」
それはというのだ。
「論外です」
「全くですね」
「会談の時も我々の料理に手をつけようとしませんでした」
「連合の要人の多くが」
「味がないと言って」
「味がないのではないです」
それは違うというのだ。
「我々の料理は」
「素材を活かしている」
「調味料や香辛料で誤魔化していない」
「それで素材の味を殺していないですね」
「左様ですね」
「自然の味を活かした」
つまり素材の味をというのだ。
「そうしたものです」
「全くです」
「それがわからないなぞです」
「彼等が野蛮であるからです」
「所詮は大衆ですね」
「雑多で猥雑な」
「彼等は誰もが同じです」
カミュは連合の大衆社会をこう断じた。
「まさに」
「指導者達もですね」
「雑多な中から出て来た」
「そうした者達ですね」
「貴族の様に指導者になる教育を受けていません」
誰もがというのだ。
「そうした学校もなくです」
「教育からしてそうですね」
「誰もが同じものを受け」
「指導者になるものではないですね」
「まことに誰もが同じで」
同じ教育を受けていてというのだ。
「そしてです」
「それで、ですね」
「指導者も雑多で」
「お世辞にも品はよくない」
「左様ですね」
「ですから料理もです」
これもというのだ。
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