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わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ

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13-9

 次の日は練習を始める前に監督がみんなを集めて

「君達には 頭が下がるよ 本当に零封しちゃうんだからなー それに 沙菜 えらいぞ 頑張ったな どうしてトライできたと思う?」

「はっ 栞奈さんからパスもらえたから・・・」

「どうして パスもらえたんだ?」

「それはー 栞奈さんについていって なんとか璃々さんをフォローしてたから、パスを受け取って絶対にボールを守るんだと思ってた」

「そうだ それだよ! 沙菜の意識がそうさせたんだ! 繋ぐという思いな それと、数日間だけど辛い練習で もう辞めたくなったこともあっただろう? だけど、それを乗り越えたという自信があったから 璃々をフォローできたんだ いいか? みんな 練習が辛いのは当たり前だ ラグビーが好きなんだったら強くなれ! 同じやるなら勝て! その時の歓びとか達成感は勝利者にしか味わえないんだぞ 君達は全国に行くんだろう? 人よりも何倍も辛い練習にも耐えてこそ掴み取れるんだぞ 普通のことをやっていて上に行ける訳が無いんだぞ よしっ! 今日も気合入れていけ!」

 私達は初めて聞くような監督の熱い訓示だった。勿論、私達は奮い立っていた。

「なぁ 監督 最近 どうしちゃったんかなー なんかが乗り移ったみたいだよね」と、泉希に話掛けたのだが

「そうねぇー 監督のほうこそ 全国に行くんだって気になったのかな 京都選抜との試合が決まって スイッチ入っちゃったみたい 絶対に勝つ気よ 巻き込んだのはみゅんだからね 責任とってよ みゅんは絶対に全国行くんよ」

「ぁぁー 泉希ぃー いつも一緒だって言ってたじゃぁない」

「ふふっ 限界あるかもよ」

 その日の練習はまた変わったことをさせられていた。タックルを受けたときに倒れながら片手でパスをするのだ。オフロードパスというやつ。最初は1mぐらいだったけど、3mぐらいの長いパスの練習に変っていった。そして、最後のあのジャンプしながらのランニング。監督の檄があったのだけど、そんなことも忘れたかのように、1年生は泣き言を言いながらやっていたのだ。

 試合当日は朝、学校で最終の練習をして、試合会場の市営グラウンドに向かった。今日の試合ではフォワードは1番栞奈 2番沙菜 3番彩 と決まっていた。バックス陣はいつものメンバーで、一応 市の選抜チームという形をとっていて、私達はキャンキャンズのジャージだったけど、彩だけは白いジャージなのだ。

 会場には、校長先生を筆頭に何人かの先生に生徒達も50人位居て、(飛んで跳ねろ 桜中)の横断幕も・・・私達もびっくりしていたのだ。そして、じっちゃんとばっちゃんに、私達メンバーの父兄の姿もあったのだ。勿論、サッカー部の連中も、道弘と励とすみれなんかは(みゅうみゅん 泉希 璃々 頑張れ)と書いたダンボールを掲げていた。

 だけど、グラウンドに現れた相手を見て もっと驚いたのだ。赤紫のジャージにパンツは黒でみんな身体がごっつい人ばっかりで圧倒されていた。さすが、京都選抜チームなんだけど、これで、同じ1年2年生なのだろうか。私なんかぶつかったら、ぶっとばされそう

「いいか? どんなにでっかい相手でも確実に膝に飛び込めば倒せるんだからな 気遅れするなよ ひとりで駄目だっらふたりがかりでやれ! 向こうのコーチはウチを見ているから、それなりに指示を与えているだろうけど 選手はウチの体格の差を見て舐めてかかって来るだろう だけど、タックルで最初からダメージを与えてヤレッ! ちゃんと練習してきたことを思い起こせ ひとりひとりが責任を果たすんだ きっと 勝てるからな! よーし お互い 仲間を信じて思いっきりやってこい!」と、監督の言葉を信じて試合は始まった。

 私達は開始早々から強烈なタックルを繰り返し、練習を強化してきたようにバックアップも忠実にして向こうの攻撃を防いでいて、だけど、攻撃の時は、璃々とか朝陽にボールが渡っても、相手が二人がかりで倒しに来ていて、突破も出来ないでいた。ふたりは完全にマークされていて、試合はセンターライン中心に攻めたり、攻められたりしていたが、前半は0-0のまま終えていた。

  ハーフタイムの時には、璃々も朝陽も相当ダメージを受けて居るみたいで、朝陽は唇の横から血が滲み出ていた。
 
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