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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その十八

「それで、です」
「今宵はヒラメですか」
「それを用意して下さいましたか」
「そうですか」
「そうです、ですが」
 それでもともだ、カミュは話した。
「タレーランの様にはしません」
「タレーランのヒラメですね」
「最初の一匹をわざと落とし客人を落胆させ」
「もう一匹出して普通に出した時よりも喜ばせる」
「あの逸話ですね」
「タレーランは優れた外交官でした」
 その為ナポレオンも重用した。
「そして美食家でもあり贅沢も演出もわかっていました」
「それでもですね」
「首相としてはですね」
「タレーランの様には出来ない」
「そうなのですね」
「一匹を犠牲にしますと」
 そのわざと落としたヒラメのことを話した。
「どうにも惜しい」
「そう思われますね」
「あのお話では二匹のヒラメを使いましたが」
「もう一匹も使いたい」
「それが首相のお考えですか」
「優秀な人間が二人いれば」
 その場合はというのだ。
「その時はです」
「二人共用いたい」
「そうされたいですね」
「首相としては」
「そうお考えですか」
「併用してでも、例えば二人優れたキーパーがいれば」
 その場合はというと。
「私なら併用します」
「どちらかを固定です」
「併用しますか」
「一人を用いてもう一人もですね」
「使うのですね」
「そうします、レギュラーは二人でもです」
 それでもというのだ。
「むしろその方がチームにとってはいいです」
「時と場合で使い分ける」
「そうしますね」
「片方が怪我をしても」
「もう一人がいますね」
「それなら安心出来ますね」
「ですから人材もです」
 彼等もというのだ。
「二人いればです」
「片方を用いてもう片方を捨てたりしない」
「そうなのですね」
「どちらも用いる」
「そうしますね」
「はい、美味なヒラメを犠牲にするなぞ」
 タレーランの様にというのだ。
「演出としては最高ですが」
「あまりにも惜しい」
「その犠牲にするヒラメが」
「そうなりますね」
「そうです、他に優れた分野があればそちらに回し」
 そしてというのだ。
「そこで働いてもらいますしその分野だけでも」
「どうにかですね」
「用いる様にする」
「そうしますね」
「競合はさせますが」 
 こうも言うのだった。 
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