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小柄で太っていたのが

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第二章

「運動したらその分体格作りに栄養がいって」
「それでなの」
「背も伸びたのよ」
「そうなったのね」
「ええ、そうよ」
 こう瞳に言うのだった。
「水泳はじめてから変わったし」
「それでなのね」
「ええ、まるで別人よ」
 自分より背が高くなった瞳を見上げて言うのだった。
「もうね」
「そこまで違ってるの」
「ええ、じゃあこれからも泳ぐわね」
「泳ぐわ」
 返答は一つだった。
「絶対にね」
「そうよね」
「健康にもいいしね」
 身体を動かしてというのだ。
「水泳はじめてから体力ついて元気にもなったし」
「いいこと吐くしね」
「うん、本当にね」 
 友人に満面の笑みで応えた、そうしてだった。
 瞳は水泳を続けていった、すると大学生になって小学生の時の同窓会に出てそのクラスメイトに笑って言われた。
「もう別人じゃない」
「子供の頃から?」
「美人になったけれど」 
 はっきりした明るい顔立ちに黒髪をロングにしている瞳と一緒にビールを飲みつつ笑いながら話した。
「背滅茶苦茶高くなったじゃない」
「一七二よ」
「男の人並じゃない、しかも」
 背だけでなくとだ、クラスメイトだった娘はさらに言った。
「身体つきもね」
「筋肉質になった?」
「全体的にね、肩が特にね」
「ずっと水泳してるから」
「毎日泳いでるのね」
「そうしてたらね」
 瞳は笑って話した。
「こうした体格になったわ」
「水泳って全身使うからね」
「こうなったわ、それで脂肪率は少ないのに」
 そうであるがというのだ。
「体重はね」
「筋肉重いからね」
「あるのよ、これが」
「けれど筋肉だといいでしょ」
「ええ、脂肪じゃないならね」
「それじゃあ水泳は」
「今もやってるしこれからもね」
「続けるわね」
「そうするわ」
 笑顔で言うのだった、そして同窓会の中で二人で仲良く飲んだ。瞳の飲みっぷりは今の彼女の体格に相応しいものだった。


小柄で太っていたのが   完


                     2024・2・19 
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