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小柄で太っていたのが

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第一章

                小柄で太っていたのが
 熱田瞳は小柄である、しかもだ。
「また太った?」
「ちょっとね」
 クラスメイトにバツの悪そうな顔で応える、見れば小学四年生のクラスで一番小柄でしかもボールの様な体形である。顔もそうで黒い髪形も目も何もかもが丸い。
「そうなったわ」
「そうよね、どんどんボールみたいになってるわ」
「私食べるとね」
 瞳はクラスメイトにその顔のまま答えた。
「すぐに太るの」
「そうした体質なの」
「だからね」
 それでといういのだ。
「太るの。ただ背はね」
「伸びないのね」
「どうしたものかしら」
 正直悩んでいた、そんな彼女にある日両親はこう言った。
「スイミングスクール行くか?」
「お家の近くにね」
 こう言うのだった。
「水泳は身体全体使うからな」
「きっと痩せるわよ」
「食べて太るならな」
「その分身体動かしてみましょう」
「うん、これ以上太ったら困るし」
 瞳は両親にそれならと応えた。
「やってみるね」
「ああ、お前が好きなだけ泳ぐんだ」
「そうしなさい」
「そうするね」 
 両親に応えてだった。
 実際にスイミングスクールに入って毎日の様に泳ぎはじめた、最初はバタ足程度であったがそれが次第にだ。
 プールで好きなだけ泳ぐ様になった、そうして毎日の様に泳いでだった。
 六年になるとだった、かつてまた太ったと聞いたクラスメイトは瞳に対してこんなことを言ったのだった。
「瞳ちゃん変わったわね」
「そう?」
「うん、痩せてね」
 見れば実際に今の瞳はすらりとしている。
「それで背も伸びて」
「今じゃクラスで高い方よね」
「女の子の間じゃ一番でしょ」
「急に伸びたわ」
「あれね。水泳でカロリー消費してね」
 この運動でというのだ。 
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