神々の塔
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第五十七話 音楽の神霊その十二
「私の一日がはじまる」
「そうですね」
「だからだ」
「豆の粒数を数えて」
「そしてだ」
「決めらた粒数の豆を使ってですね」
「コーヒーを煎れてな」
そうしてというのだ。
「それを飲んでだ」
「一日をはじめますね」
「そのことは変わらない」
この世界で神霊としていてもというのだ。
「毎日そこからだ」
「はじめられていますか」
「そうだ」
「絶対それがならんと癇癪起こすな」
メルヴィルはそのことを確信して言った。
「この方は」
「間違いないわね」
アレンカールも確信していた、それで言うのだった。
「ほんまに」
「そうやな」
「何しろちょっとしたことで怒って」
「もの投げる人やからな」
「そうしてるわよ」
「今もな」
「周りの人達は大変ね」
神霊即ちベートーベンに神界で仕える人達はというのだ。
「絶対に」
「そやな」
「他人のことは目に入らない人やし」
「そうやしな」
「うん、実際彼に仕えてる人達は苦労してるよ」
モーツァルトがここでまた言ってきた。
「何かとね」
「やっぱりそうですか」
「本当に人の話は何一つ聞かなくて」
そこまで頑迷でというのだ。
「いつもふんぞり返っていて気難しくてね」
「癇癪持ちで」
「そんな人ですさかい」
「だからね、君達の起きた世界でもそうで」
「こっちでもですか」
「そうですか」
「うん、ただ悪人じゃなくて清廉潔白だから」
この特性はこの世界でも備えていてというのだ。
「嫌われてはないよ」
「そうなんですね」
「困った人ってだけで」
「そうだよ」
「勝手に言うがいい、では諸君必ずだ」
ベートーベンは腕を組みそのうえで一行に告げた。
「この世界を救うのだ、いいな」
「はい、そうさせてもらいます」
綾乃がリーダーとして一行を代表して答えた。
「「いてその為にも」
「この塔を踏破するな」
「そうします」
「その言葉忘れるな、ではこれからも進むのだ心ある者達よ」
ベートーベンは強く大きな声で告げた。
「そしてこの塔を踏破してだ」
「大いな力を得てですね」
「そしてその力で世界を救うのだ」
「そうします」
「必ずな、ではまずは休みまた先に進むのだ」
こう告げてだった、ベートーベンは他の音楽の神霊達と共に一行にエールとして音楽も奏でて聴かせた、一行はそれを聴いてから今は休息を摂るのだった。
第五十七話 完
2024・1・8
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