兎唇
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第一章
兎唇
戦国時代の日本を舞台としたシュミレーションゲームをしてだ、高校生の名倉淳小柄で黒髪を短くしていてきりっとした顔立ちで耳の大きな彼は山県昌景という武松がやけに強いので興味を持ってネットで調べてみたが。
「へえ、山県って小柄だったんだな」
「一四〇なかったみたいだぞ」
名倉は学校で親しいクラスメイトに話した。
「何でもな」
「あんなに強くてもか」
「武田家でもかなり強いよな」
「いい武松多い武田家でもな」
「けれど当時でもな」
「一四〇ないって相当小さいな」
「信玄さんで一六〇位だったらしいしな」
武田家の主だった彼がというのだ。
「それでな」
「あの人一四〇なかったんだな」
「当時でもかなり小さくて」
名倉はさらに言った。
「口唇口蓋裂、兎唇だったらしいな」
「何だそれ」
「唇の真ん中がな」
自分の底を指差しつつクラスメイトに話した。
「避けるらしいんだよ」
「上の方がか」
「それで兎みたいな唇になるらしいんだよ」
「そんなのあるんだな」
「生まれた時にな」
即ち先天的にというのだ。
「なるらしいな、稀にな」
「そうした人いるんだな」
「今は手術で治るらしいな」
「整形でか」
「生まれてすぐにな、けれどその頃はな」
戦国時代はというのだ。
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