神々の塔
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第五十六話 天空に向けてその九
「それでも軍は大損害で多くの領地を失ったから」
「ウラジオストクにシベリア鉄道以南の領土やな」
「サマルカンド近郊までのね」
「それでか」
「負けやってね」
その様にというのだ。
「言ってるわ」
「そうやねんな」
「そう、あたい達は確かに負けたけれど」
「戦力の碗割近くを失ってサマルカンドも攻略出来んかった」
「そやけどね」
それでもというのだ。
「相手もね」
「負けたってか」
「思ってるわ、お互いにね」
「負けた、言うなら痛み分けか」
「そんな戦だったってことかしらね」
「相手は私達にあの決戦で勝ってか」
「失った領地を取り戻してね」
緒戦でそうなった場所をというのだ。
「勝利やってね」
「考えてたな」
「けれど決戦であたい達を壊滅させられないで」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「領地も奪回出来んかった」
「何だかなでシルダリア川北岸までは領地にしたから」
自分達はというのだ。
「ノボシビルスクやカラガンダもね」
「そこまでやとやな」
「そう、かなりの領地を失ったから」
枢軸側はというのだ。
「負けたってね」
「思ってるか」
「そうなのよ」
こう言うのだった。
「相手もね」
「そうなんか」
「それで今あっちもでしょ」
枢軸側もというのだ。
「軍を立て直してるでしょ」
「私達みたいにな」
「むしろ私達以上やな」
シェリルが言った。
「その大変さは」
「そうやな、九割以上を失ったんや」
リーもそれではと応えた。
「ほんまな」
「立て直すのが大変や」
「そこまでになるとな」
「幾ら復活出来る将兵が殆どでもな」
羅は真剣な顔で述べた。
「流石にな」
「回復に時間がかかるな」
「将兵がそこまで死傷してたら」
軍の九割以上がというのだ。
「兵器の損害もな」
「かなりやな」
「そうやしな」
「それではや」
リーは枢軸の現状を分析して述べた。
「今枢軸は軍の回復に必死でな」
「当分動けんな」
施もこう考えた。
「そやな」
「間違いなくな」
「こっちが力を取り戻しても」
「まだやな」
「まして枢軸は軍備の負担が大きい」
施はこのことも指摘した。
「経済規模もうちより遥かに小さい」
「それでそこまで損害受けた軍を回復させるとなると」
リーはさらに言った。
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