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第百十六話 半ズボンの有り難さその二

「うちの学校そこも考えてくれてるわね」
「あの、日本の冬ってかなりのものだから」
 タイから来た娘が言ってきた。
「だから冬には半ズボンはね」
「絶対に嫌ね」
「膝までのもね」
 こちらの半ズボンもというのだ、今理虹が穿いている様な。
「私としてはね」
「日本の寒さには足りないのね」
「ジャージでないと」
 こちらでないと、というのだ。102
「無理よ」
「タイは冬ないしね」
「熱帯だからね、これでも慣れたのよ」
「あんた日本来て十一年だったわね」
「幼稚園の頃からね」
「幼稚園の頃同じクラスだったわね」
 理虹はここでこのことを思い出した。
「そうだったわね」
「ええ、私も覚えてるわ」
「お互いにね」
「あの頃に比べたらかなり慣れたけれど」
 それでもというのだ。
「まだね」
「寒いのね」
「それもかなりね、ただね」
 タイの娘はこうも言った。
「日本の冬はまだましよね」
「寒さが」
「欧州なんてね」
 こちらの国々はというのだ。
「もうね」
「日本の北海道より寒いなんてね」
「結構あるのよね」
「パリだってね」
 理虹はフランスの首都であり世界的に知られているこの街のことを話した。花の都と呼ばれているこの街を。
「日本の北海道よりね」
「緯度北で」
「寒いのよ」
「そうよね」
「ドイツと科イギリスもね」
 こうした国々もというのだ。
「やっぱりね」
「北海道より北で」
「冬はね」
「かなり寒いわね」
「何しろ北欧の子って神戸の冬平気なのよ」
「海と六甲おろしで底冷えするのに」
「そうなのにね」
 何しろ六甲にはスキー場まであるのだ、それだけ寒いということds。
「その神戸の冬もね」
「平気なのね」
「オーロラ出ないでしょ」 
 こう言ってきたのはノルウェーの娘だった。
「神戸には」
「オホーツクには出たかしら」
「けれど神戸には出ないでしょ」 
 理虹に横から言うのだった。
「そうでしょ」
「流石にね」
「息が凍ってね」 
 そうしてというのだ。
「空気もそうなってね」
「ダイアモンドダストね」
「お水なんて瞬時にね」
 それこそというのだ。
「凍ってしまう」
「そうしたところよね」
「だから神戸の寒さもね」
「北欧と比べたら」
「天国よ、私北海道にも行ったことあるけれど」
 日本の寒い地域の代名詞であるこちらにというのだ。 
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