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星河の覇皇

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第八十五部第五章 北京宣言その五十一

「警戒することだ」
「買収等で大使館員を抱き込んで、ですね」
「偽の情報や分析を出させる」
「そうもしてきますね」
「連合では常だが」
 それでもというのだ。
「日本政府特に伊東首相はな」
「謀略も得意な方です」
「特に買収はお手のものです」
「誰に何を贈れば抱き込めるか」
「よくご存知です」
「そうした方なので」
「警戒が必要だ、狐には狸ではないが」
 同じく化かす生きものだからだというのだ。
「しかしな」
「伊東首相に負けない」
「そうした人物を送る」
「そのことも検討しますか」
「伊東首相は今は敵だからな」
 中央政府から見てだ。
「だからな」
「対抗出来る人物が必要ですね」
「敵であるからこそ」
「そうなりますね」
「若し外務省に人材がいてだ」
 そしてというのだ。
「日本大使館にいないならな」
「すぐにですね」
「日本大使館に行ってもらい」
「そうしてですね」
「対してもらう、誰も侮ってはいけないが」
 しかしというのだ。
「伊東首相は侮るとな」
「痛い目を見ますな」
「その時は」
「そうなりますね」
「そうだ、どういった相手かわかっていてそれで侮るなぞだ」
 それこそというのだ。
「愚の骨頂だ」
「全くですね」
「伊東首相の外交能力はもうわかっています」
「そして謀略の腕も」
「そのことも」
「それで侮るなぞだ」
 キロモトはさらに言った。
「愚か者のすることだ、中央政府に愚か者はいるか」
「いません」
「むしろ連合にはいないと言っていいです」  
 こうした強い意見も出て来た。
「我々は常に学び切磋琢磨する国です」
「連合市民は堕落することがない」 
 キロモトも言った。
「そう言われているな」
「常に働いて学んでいるからこそ」
「言葉にもあるな」
「古代ギリシアとは違います」
「アテネの様にな」
「そしてローマの末期の様に」
 東西に分裂してホノリウスが西ローマ皇帝になった時だ、最早この時のローマは市民も街も守る気がなくなってた。
「ああはなりません」
「それでだな」
「中央政府にもです」
「愚か者はいないな」
「左様です」
「それならば言おう、伊東首相は侮るな、そしてだ」 
 キロモトはこうも言った。 
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