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オズのヘンリーおじさん

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第一章その五

「そしてそれはあんたもでしょ」
「僕もね、オズの国に来てから」
 実際にとです、トトも答えました。
「かなりね」
「甘いものが好きになったわね」
「食べる様になってね」
「そうよね」
「それでドッグフードも」
 こちらもというのです。
「かなりね」
「好きね」
「そうだよ、昔はね」
 トトはここでしみじみとして言いました。
「ドッグフードとかキャットフードなんてね」
「オズの国にもなかったわね」
「外の世界にもなくてね」
 それでというのです。
「そんなもの食べることなんて」
「なかったわね」
「それが外の世界で出来て」
「オズの国でもそうなって」
「食べるとね」
「美味しいのよね」
「そうなんだよね」
 トトは尻尾を振りつつエリカに応えました。
「これが」
「全くよ、それであんたカンサスにいた時は何を食べていたのかしら」
「何ってあるものをね」
「食べてたの」
「そうだったよ」
「そうだったのね」
「カンサスにいた時はね」
 その頃のことをトトもお話します。
「食べるものはいつもね」
「あるものをだったの」
「ドロシーもおじさんもおばさんも」
 その人達もというのです。
「本当にね」
「あるものをなのね」
「食べていたんだ」
「あの頃はそうだったわね」
 ドロシーもその頃のことを思い出しつつ言います。
「本当にね」
「畑で採れたものとかね」
「たまに来てくれる行商人の人から買ったものとか」
「そうしたのを食べていたわね」
「何を食べたいかじゃなくて」
「あるものをね」
「食べていたね」
「そうだったわ、それがね」
 ドロシーはその頃のことを懐かしむお顔で言いました。
「今ではね」
「好きなもの食べられるね」
「こうしてね」
「お魚なんてね」
 それこそと言うトトでした。
「カンサスにいたら」
「あの大平原の中だと」
「食べることなんて」
「なかったね」
「けれど今はね」
「好きなだけ食べられるね」
「貝や海老だって」
「烏賊や蛸だってね」
 こうしたものもというのです。
「好きなだけね」
「食べられるわね」
「有り難いことにね、お寿司だってね」
「そうそう、お寿司なんて」
「知りもしなかったよ」
「あの頃はね」
「ドロシーさんお寿司も好きですね」
 恵梨香が言ってきました。
「そうですね」
「大好きよ」
 ドロシーは恵梨香に満面の笑顔で答えました。 
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