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X ーthe another storyー

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最終話 終幕その十六

「幸せな未来をだ」
「掴むな」
「そうする」 
 こう言うのだった。
「俺達はな」
「希望があるからな」
「絶望は最初から人間にはない」
「だが希望はあるな」
「常にな」
「人間の傍にはある」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「俺達はな」
「希望を持ってだな」
「やっていくことだ」
「うん、希望は何があってもあるわね」 
 小鳥は神威の言葉を聞いて微笑んで言った。
「本当に」
「そうだな」
「それを実感したわね」
「この戦いでな」
「何度も大変なことがあったけれど」
「その都度だ」
「皆が努力して希望もあって」
 それ故にというのだ。
「乗り越えて」
「それを繰り返してな」
「今に至るから」
「希望はある、そして絶望するしかない様な状況でもだ」
「何も決まってないわね」
「一瞬先すらな、決めるのは誰か」
 それはというと。
「やはりだ」
「私達ね」
「運命はあるがそれは幾つもある」
「そして絶望する様な未来もそのうちの一つで」
「決まっていない」
 全くというのだ。
「そうだ、だからな」
「これからもね」
「やっていく、俺もな」
「じゃあ私もね」
「これからも一緒だな」
「何があってもね」
「もう二度と離れない」
 神威は約束した、その約束は言葉のものだったが何よりも強く固い、そうしたものであることは小鳥も封真もわかった。
「俺はな」
「私から」
「そして封真ともな」
「三人いつも一緒ね」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「何時か。その時が来たら」
「その時は」
「一緒に暮らそう」 
 自分から言った。
「そうしよう」
「うん、私達はね」
「二人でな」
「そうなりましょう」
「お前達はそうならないとな」
 封真は優しい表情で二人の背中を押した。
「やはりな」
「駄目よね」
「ああ」
 まさにというのだ。
「何があってもな」
「そう言ってくれるのね」
「正直他の誰かには小鳥を渡したくない」
 この気持ちも言うのだった。
「どうしてもな、だが」
「俺ならか」
「喜んでな」
 そのうえでというのだ。
「任せられる」
「そう言ってくれるか」
「ああ、神威ならな」
「ならその言葉に応える」
 神威は確かな声で約束した、封真にもそうした。
「必ずな」
「ではな」
「それじゃあね」
 小鳥が言ってきた。
「今日はこれでね」
「より深い眠りに入るな」
「三人共ね。だから」
 それでというのだ。
「この場所をね」
「去るか」
「そうしよう。奇麗な場所だけれど」
 それでもというのだ。
「ずっとはいられないし」
「夢の中だしな」
「もうね」
「去ってだな」
「深い眠りに入って」
 そうしてというのだ。
「朝起きてね」
「まただな」
「一日頑張ろう」
「そうすべきだな」
「明日ははじまるから」
 絶対にと言うのだった。
「だからね」
「今は去るか」
「そうしよう、じゃあ神威ちゃんもお兄ちゃんも」
 二人に言うのだった。
「今はね」
「ここを去ってだな」
「また明日会おう」
「わかった、じゃあな」
「またね」
「明日だ」
 神威も封真も言った、そうしてだった。
 三人でその場を後にした、そのうえで明日に向かった。目覚めた彼等は新たな運命に向かった。


最終話   完


X ーthe another storyー   完


                 2023・12・1 
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