祖父への呪い
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第一章
祖父への呪い
娘の美波が連れてきた東京から転校してきたという佐藤亜津子、茶色い奇麗なロングヘアと明るい感じの大きな目と色白の肌とピンクの唇を持つ彼女を見た瞬間だった。
鈴木美加子大きなはっきりした二重の目と濃い一文字の眉と大きな赤い唇を持ち黒髪を後ろで束ね長身で胸の大きな彼女は一瞬顔を蒼白にさせた。
だがすぐに元に戻ってだ、自分そっくりの高校二年生の娘に尋ねた。
「その娘が東京から引っ越してきた娘ね」
「うん、いつもお話してる亜津子ちゃんよ」
娘はにこりと笑って答えた。
「東京から来たね」
「はじめまして」
亜津子は礼儀正しく頭を下げて挨拶をした、礼儀正しい仕草だった。
「佐藤亜津子です」
「宜しくね」
美加子も礼儀正しく挨拶を返した。
「娘と仲良くしてくれてるのね」
「私がしてもらってるんです」
これが亜津子の返事だった、声は澄んだ高い声である。
「同じクラスで席が隣同士になって部活も同じで」
「バスケ部ね」
「はい、一緒に頑張ってます」
「亜津子ちゃんって凄いの」
娘が笑顔で話した。
「お勉強もスポーツもよくて性格も明るくて」
「そうなのね」
「優しくてね」
「もう美波ちゃん褒め過ぎよ」
亜津子は自分のことを言う美波に顔を真っ赤にさせて恥ずかしそうに言った。
「私そんな凄くないよ」
「凄いよ、うち県内で結構な進学校なのにそうだし」
「お勉強出来て?」
「うん、凄いよ。バスケでもレギュラーなれそうだし」
「そんなこと言ったら美波ちゃんの方が上手じゃない」
「私なんかとても」
こんな話をしていた、二人は極めて仲がいい感じであった。
だが美加子はその二人を表面では何もない様に接してだった。
お茶とお菓子を出して三人で話した、亜津子はずっと穏やかで謙虚でしかも明るく悪い印象は受けなかったが。
亜津子が帰るとだ、美加子はすぐに娘に話した。
「ねえ、お母さんが霊感強いって知ってるわよね」
「うん、何かとね」
娘もそれはと応えた。
「人見て何かあるとか憑いてるとかね」
「やっぱりそういうのあってね」
「お母さんはわかるのよね」
「そう、それでね」
「まさかと思うけれど」
「ええ、あの娘美波ちゃんって言ったわね」
その彼女のことを話した。
「大変よ」
「何かあるの」
「あの娘自身には何もないけれど」
それでもというのだ。
「代々、二代前位にね」
「何かあったの」
「多分ね。あの娘どうしてここに来たのかしら」
「お父さんの転勤で来たらしいのよ」
美波は母に素直に答えた。
「何でもね」
「そうなのね」
「それがやっぱり」
「ええ、あの娘の親御さんにも何もなくても」
「お祖父さんかお祖母さんになの」
「何かあったわ、そしてそれがね」
娘にさらに話した。
「やがてあの娘にかかるわよ」
「かかるって」
「呪いとか因縁とかいうものが」
そうしたものがというのだ。
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