星河の覇皇
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第八十五部第五章 北京宣言その三十五
「大事にしているな」
「ご主人との家庭をですね」
「お子さんもおられるしな」
「それも何人も」
「やはり家庭はいい、だが家庭がない人でもな」
それでもというのだ。
「その人の考えだからな」
「いいですね」
「そう思う、連合では独身主義者は殆どいないが」
結婚して子供が出来れば中央政府そして各国政府から様々なサービスの優遇処置が施されるからだ。これは連合の多産推進政策の一環である。
「しかしな」
「そうした人もですね」
「いい、だが八条長官は」
「今もですね」
「お見合いを勧められているそうだな」
「その様ですね」
「そうだな、だが」
「それでもですね」
「彼はな」
今もというのだ。
「そちらにはな」
「全く以て鈍感で」
「中々ですね」
「彼はもてる」
「間違いなく」
「彼程そうした人気のある政治家はいない」
連合広しといえど、というのだ。
「それでもだ」
「左様ですね」
「そうだ、しかし」
「彼は気付かない」
「実家はかなり焦っているそうだな」
「その様ですね」
「だからそろそろな」
キロモトは真剣な顔で述べた。
「彼の実家もな」
「本気で動きますか」
「そうなるかも知れない」
こう言うのだった。
「彼のことを考えるとな」
「八条家の後継者です」
「連合屈指の企業グループの経営家だ」
「それならば」
「やはりな」
「結婚をしてですね」
「後継者を残す」
自分の後のそれをというのだ。
「そうしないとだ」
「ならないですね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「彼はな」
「何としてもですね」
「結婚しなければならない、子供がいなくてもな」
「家庭は、ですね」
「持つべきだ」
「左様ですね」
「それで八条家の方もな」
彼の実家もというのだ。
「いよいよだ」
「本気になってですか」
「彼の細君を探している」
「そうなってきましたか」
「彼は恋愛の才能はない」
全く、とだ。キロモトは看破した。そしてこのことは事実であり八条をよく知る者は誰もが言うことの一つだ。
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