神々の塔
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第五十四話 八艘跳びその九
「あの方はこの世界を守護する神霊にはなれなかった様だ」
「そうですか」
「邪神もこの世界を守護するが」
「ラグクラフトの神々ですね」
「邪神なりにな、しかしな」
それでもというのだ。
「兄上はなれなかったな」
「そうですか」
「そして井伊殿も」
井伊直弼もというのだ。
「ご先祖の方はなられているけれど」
「ご本人さんはなってないですか」
「殺された人達なってるけれどね」
安政の大獄の犠牲者達はというのだ。
「どうやらね」
「嫌われ過ぎていて」
「どうもな」
今度は武蔵坊弁慶が言ってきた。
「幾ら資質があり世に貢献してもだ」
「行いがあんまりにも悪うて」
「嫌われているとな」
そうであるならというのだ。
「神霊にはなれぬ様だ」
「そうですか」
「そうだ、我等は幸いにだ」
それでというのだ。
「神霊になっているがな」
「嫌われ過ぎているとですね」
「なれない」
「功績があっても」
「功よりも悪や罪が多いとな」
そうであるならとうのだ。
「そうなるのだ」
「それであの人達いないんですね」
「というかお会いしたいか」
真顔でだ、弁慶は綾乃に問うた。
「あの方々と」
「頼朝さんや直弼さんと」
「どうなのだ」
「やっぱり嫌です」
綾乃ははっきりと言って他の面々もそれはと頷いた、彼等もそうした歴史上の人物達が好きではないからだ。
「心から」
「そうである、世界を守護するにもな」
弁慶は綾乃に応えて述べた。
「やはりな」
「それなりのもんが必要で」
「それは資質だけでなくな」
「功もあって」
「悪や罪もな」
そうしたものもというのだ。
「多いとな」
「なれへんってことですね」
「そういうことだ」
「そのこともわかりました」
「それなら何よりだ、ではな」
「これからですね」
「戦おう」
「宜しくお願いします」
こう話してだった。
一行は義経や弁慶との戦に入った、彼等は確かに強かったがそれでもだ、
一柱ずつ倒していった、だがその中で義経のひらりひらりと舞う様に跳びつつの一撃に苦労してだった。
羅は歯噛みしてだ、こう言った。
「我の青龍偃月刀やとな」
「わいのミョッルニルもや」
トウェインも忌々し気に応えた。
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