バウアーへの願い
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第一章
バウアーへの願い
スタープラチナはカラオケボックスである、経営しているのは北乃明日夢の家で彼女は学校が終わるとよくこの店の仕事を手伝っている。
それで今は店のカウンターにいるが。
店のカウンターの状況を見てだ、店を利用しに来た彼女のクラスメイト達は眉を顰めさせた、それでだった。
伊藤春華はその顔で明日夢に言った。
「おい少年何だよこれ」
「何だよって何よ」
明日夢は真剣な顔で応えた。
「いつも通りでしょ」
「ベイスターズ色だっていうんだな」
「それがうちのお店でしょ」
ベイスターズのマスコットがあり後ろにチームの旗があるカウンターの中で言った。
「そうでしょ」
「いや、これはな」
「これは?」
「かなりな」
どうにもと言うのだった。
「有り得ないだろ」
「あの、後ろの毛筆の言葉が問題なのよ」
橋口七々瀬はこのことを指摘した、大きな筆で書かれたそれをだ。
「バウアー行くなってね」
「祈願してるのよ」
明日夢は悪びれない態度で答えた。
「ファンとしてね」
「バウアー投手ね」
「そう、何があってもね」
「ベイスターズに残って欲しいのね」
「そう願っているから」
だからだというのだ。
「私はね」
「その字あんたが書いたのよね」
今度は遠藤静華が尋ねた。
「そうよね」
「そうよ」
静華に胸を張って答えた。
「強く念じつつね」
「そうなのね」
「残ってくれたら」
ベイスターズにというのだ。
「どれだけ嬉しいか」
「気持ちはわかるけれどね」
明日夢と特に仲のいい中森凛はこう言った、明日夢の気持ちを汲んで。
「けれどね」
「やり過ぎっていうのよね」
「ええ」
凛は否定しなかった。
「本当にね」
「やり過ぎじゃないわよ」
明日夢はそれを否定した。
「それだけよ」
「バウアー投手に願って欲しいのね」
「残ってくれたら」
バウアー、彼がというのだ。
「戦力になるしその野球への心構えを見て」
「ああ、チームの雰囲気違ったな」
「あの人来てからね」
「モチベーション滅茶苦茶上がって」
「野球への気構えが変わったわね」
「そのこともあるから」
明日夢は春華達四人に話した。
「本当に残って欲しいのよ」
「そういうことだな」
「ただ戦力としてだけでなく」
「そのことも見てるのね」
「チームへの影響も」
「中日の晒し投げね」
若手投手へのそれの話もした。
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