星河の覇皇
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第八十五部第五章 北京宣言その二十七
「しかしな」
「それ以上にですね」
「頭の回転が速く」
「キレ者ですね」
「まさにな、知識派と言う人がいるが」
「それよりもですね」
「私は頭脳派と見る」
これがキロモトの見立てだ。
「彼女はな」
「だから九尾の狐ですね」
「そうだ」
それでというのだ。
「化かす、そして非常に頭がいい」
「だからですね」
「彼女は九尾の狐だ」
「只の狐ではなく」
「狐の中の狐だ」
「かなりの頭脳派であるので」
「味方の時は助けられたが」
「それがですね」
「敵だからな」
そうなるからというのだ。
「だからだ」
「強敵ですね」
「その中でも特にな」
「ではですね」
「用心してだ」
そうしてというのだ。
「対していこう」
「それがいいですね」
「さもないとな」
「化かされますね」
「そうなる、九尾の狐は恐ろしい狐だった」
「妲己でしたね」
「それだったとされている」
これは日本の創作である。
「殷の紂王を惑わしてな」
「マウリア、インドの王子を惑わし」
アッチャラーンもその妲己について話した、創作であっても連合ではあまりにも有名になっていて誰もが知っている話になっているからだ。
「そして周の幽王もでしたね」
「その時は名を変えていたがな」
「正体は狐でした」
「そして時代は下がってな」
この時代ではこの狐は各国を巡って妖女に化けて悪事を為したとされている、ローマ帝国に行ったりエジプトに行ったりもしていたとなっている。挙句にはネロの母親がそうだったとさえされている。
「日本に来てな」
「そこで玉藻前となり」
「白河院に近寄った」
白河法皇にというのだ。
「あの方にな」
「そこで遂に正体を暴かれて」
「そうして成敗されたな」
「実に恐ろしい狐でしたね」
「魔王の如きだった」
キロモトはこうまで言った。
「若しくは邪神か」
「そこまでの力がありましたね」
「実に恐ろしい存在だった」
「古来より中国には九尾の狐がいたとされていましたが」
アッチャラーンはこの話もした。
「古書では」
「山にだな」
キロモトも応えた。
「確か山海経だったか」
「はい、確か」
「やはりそちらだな」
「赤子の声で鳴き人を食らうと」
「そうした妖獣だったな」
「そう言われていたそうですが」
「それが時代が下がり」
そしてというのだ。
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