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夢幻水滸伝

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第三百三十二話 優勢なままでいる為にその十五

「そういうことやな」
「はい、あとここの調査も兼ねてます」
「調査?」
「ここでモンスターが出たと通報がありまして」 
 このこともあってというのだ。
「それで、です」
「化石見せてくれて」
「それだけやなくて」
「調査もあったんやな」
「ただのモンスターやと問題なかったですが」
 それがというのだ。
「ドラゴンらしくて」
「ああ、ドラゴンやとな」
 強力極まるこのモンスターが発見されたとなると、とだ。エリカも頷いた。
「確かにな」
「看過出来へんですね」
「並のモンスターやないさかいな」
「それで、です」
「調査に来たんやな」
「はい、ですが」
 それでもとだ、オニールはほっとした顔で述べた。
「どうもです」
「ドラゴンはおらんな」
「おったにしても」
「ちょっと立ち寄っただけやな」
「その様ですね」
「何よりやな」
「ほんまそうですね、まあこの世界のドラゴンは基本温和で」
 そうした性格でというのだ。
「知能も高く人と会話出来て」
「交渉も出来るさかいな」
「特にです」
 これといってというのだ。
「危険やないですが」
「それでもな、巨大でな」
「ブレスを吐いて術も使うので」
「おるとそれだけでな」
 どうしてもというのだ。
「人にとって脅威やからな」
「警戒せなあきません」
「実際巨大なドラゴンが暴れ回ってな」
「大惨事になったという話もありますね」
「巨人も厄介やが」
 神出鬼没でただひたすら暴れ回る彼等もというのだ。
「ドラゴンもな」
「厄介ですからね」
「性悪なドラゴンはな」
 獣やモンスターにも色々な性格の者がいるのだ。それはドラゴンも同じで時には問題のある性格の者もいるのだ。
「そんなのやとな」
「困りますね」
「そや、力が強いだけにな」
「厄介やさかい」
「出たって聞いたら」
「警戒しますね」
「ああ、それでな」
 エリカは言った。
「気が変わったかして」
「何処かに行ったなら」
「よしとしよか」
「左様ですね」
「そやな、ほなな」
「お昼を食べて」
「また化石を観てな」
 ステゴサウルスのそれを観つつ話した。
「帰ろうな」
「そうしましょう」
「戦の中の息抜きやな」
 エリカは微笑んでこの言葉も出した。
「これがな」
「ええですね」
「ああ、ほっとしてな」 
 それでというのだ。
「最高の一時になるわ」
「息抜きは普段から重要ですが」
「こうした時はな」
 戦の様な極度の緊張を強いられている時はというのだ。
「何よりもな」
「有り難いですね」
「ほんまやな、ほなな」
「その時間をですね」
「今は大事にしよな」
 こう言ってだった。
 化石達を観てそれから弁当も食べた、戦の中の息抜きは彼等にとってこのうえなく有り難いものであった。


第三百三十二話   完


                  2023・12・1 
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