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神々の塔

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第五十三話 半ばを過ぎてその六

「うちも」
「いや、普段と変わらんからな」
「それでなん」
「酔うてへんってな」
 その様にというのだ。
「言うねん」
「そやねんね」
「そや、乱れたり潰れたりもせんしな」
 そうしたこともないからだというのだ。
「強いわ」
「お酒には」
「ほんまな」
「そういうことやね」
「そやで。それで今日のお料理は」 
 ウォッカと一緒に楽しんでいるそれはというと。
「鱒のフライにマトンの串焼きにロシア風のサラダに」
「それでボルシチやね」
「ピロシキにな」
「黒パンもあって」
「キャビアを刻んだ玉葱と卵と混ぜたものもあるわ」
 こちらもというのだ。
「あるで」
「そやね」
「デザートは西欧風のケーキやけど」
「全裸医的にロシアやね」
「この国のお料理やね」
「そやね」
 まさにというのだ。
「そうなってるね」
「ウォッカに合ってるな」
「ロシア料理は」
「ほんまやな、どれも家庭料理やな」
「エカテリーナちゃんやターリヤちゃんこういうの食べてたんやね」
「ロシアやとな」 
 彼等の国ではというのだ。
「そやな」
「そうやね」
「ただケーキはあれやな」
 中里はその中のボルシチを飲みつつ言った。
「本来は」
「ロシアやとクッキーみたいな」
「固いもんやな」
「そうやねんね」
「あのケーキも食えるけどな」
「学園でも売店で売ってるし」
 綾乃は自分達が起きた世界の話もした。
「こっちの世界でも売ってるし」
「時々エカテリーナちゃん達贈ってくれるし」
「プライベートで」 
 こちらの世界でというのだ。
「そうしてくれて」
「プライベートは滅茶苦茶ええ連中やからな、あいつ等」
 メルヴィルは黒パンにその魚の卵と生卵と玉ねぎを細かく刻んで混ぜ合わせたものを乗せて食べつつ言った。
「親切で人懐っこくてな」
「気さくで」
「特にお酒が入るとな」
「めっちゃええ人達やね」
「学園でもな」 
 起きた世界の話もした。
「寮でもな」
「ええ子等やね」
「ああ、部活でもそうらしいな」
「そやけどこっちの世界やと」
「政の場ではな」
 そちらではというのだ。
「無慈悲で冷徹で」
「容赦せんね」
「厳しい政やってるわ」
「そやね」
「鉄みたいな」
 メルヴィルはこうも言った。 
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