イベリス
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最終話 素敵な想い出その十一
「奇遇ですね」
「お久し振りです、お元気そうですね」
「この通り、お仕事もです」
「109で、ですか」
「今もお店を持っています」
「占い師の」
「そうです」
「お変わりないですね」
咲は速水の外見を見て述べた。
「ずっと」
「これでも年齢は重ねていますよ」
「やっぱりそうですね」
「健康状態も幸い変わりないですが」
「年齢は、ですね」
「はい、それで娘さんですね」
速水は花も見て話した。
「大事にされていますね」
「とても」
「それは何よりです、ではこれからも」
「この娘をですね」
「大事にされて下さい」
「主人と一緒にそうしていきます」
「是非共。ではこれよりビルに入りますので」
速水は109のビルを見て咲に話した。
「また」
「機会があればですね」
「お会いしましょう」
「それじゃあ」
「機会は神の導きです」
速水はこうも言った。
「運命の一つでそれで、です」
「神様に導かれてですね」
「会えます、ではその導きがあれば」
「またですね」
「会えます、そしてよかったらお店にです」
自分が経営しているそこにというのだ。
「いらして下さい」
「占ってもらってもいいですね」
「勿論です、お待ちしています」
「それでは」
笑顔で話してそうしてだった。
速水はビルに向かって咲と別れた、花はその彼を見送ってから自分の手をつないでいる咲に尋ねた。
「あの人お母さんのお友達?」
「昔お世話になった人よ」
花にこう答えた。
「あの人は」
「お友達じゃないの」
「また違うわ」
そうだと話した。
「あの人はね」
「そうなのね」
「そうした人もいるのよ」
「お母さんには?」
「誰でも大きくなって色々な人と会ったらね」
人生を積み重ねていけばというのだ。
「そうなっていくわ」
「そうなの」
「だからね」
それでというのだ。
「花ちゃんもこれからね」
「色々な人と会って」
「さっきの人みたいな人が出来るわ」
「お世話になった人に」
「人は誰かにお世話になって生きていって自分もね」
「お世話していくのね」
「助けて助けてもらって」
そうしていってというのだ。
「生きていくのよ」
「お互いになのね」
「だから花ちゃんも他の人を助けてあげてね」
「そうしないと駄目ね」
「そう、駄目よ」
こう教えるのだった。
「いいわね」
「それじゃあね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
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