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星河の覇皇

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第八十五部第四章 メキシコの思惑その五十八

「そうでないのならな」
「ハイドリヒの様になりかねないですね」
「ナチスでもあそこまで登りつめましたし」
「そして若しナチスと彼が生き残っていれば」
「その時は」
「総統になっていた」
 ナチス=ドイツのそれにというのだ。
「そうなっていただろうしな」
「それだけにですね」
「警官にしてはいけないですし」
「他の職業に就いていても」
「警戒が必要ですね」
「そう思う、話を戻すが警官は能力も必要だが」
 それでもというのだ。
「しかしだ」
「それ以上にですね」
「倫理観ですね」
「それが必要ですね」
「何といっても」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「私は警察長官そして警官ならな」
「必ずですね」
「倫理観を見られる」
「そうされますね」
「それがない者は何があってもだ」
 例えどれだけ有能でもというのだ、事実倫理観がないということはそれだけでマイナスであることは何処でも同じである。
「私は用いないし大統領にもな」
「そうお話されますね」
「用いられない様に」
「そうされますね」
「そうする」
 絶対にという言葉だった、ガラサの今のそれは。
「是非な、そしてだからこそ今だ」
「悩んでおられますね」
「警察長官の人事で」
「そうされていますね」
「帰国すれば大統領とまたお話してだ」
 そのうえでというのだ、今彼は政治のことで頭が一杯であったがそれは当然と言えた。何しろ今の状況は彼等にとっては極めて政治的に重要なものであったのでむしろそうならない方がおかしいと言える状況であるからだ。
「私も考えをまとめていこう」
「三人の方からどなたを選ぶか」
「どなたを長官とするか」
「そのことをですね」
「考えていこう」
 こう言ってだった、ガラサは今から出す宣言のことも考えていった。そうしてそこから結論を出すのだった。 
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