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夢幻水滸伝

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第三百三十一話 牽制の為の進軍その九

「城門や城壁は壊されるからな」
「被害はゼロではないですね」
「そやからな」
 それ所にというのだ。
「街のモンに抵抗するなと言って去るのはな」
「いいですか」
「ましてエリカちゃんというかあっちの星のモンは誰も無体なことはせん」 
 このことはスタインベックもわかっているのだ。
「そやからな」
「街の守りを放棄して撤退しても」
「ええわ、相手が乱暴狼藉働くなら」
 そうした風ならというのだ。
「絶対にや」
「戦わないといけないですね」
「そやけどな」
 それでもというのだ。
「そうした相手やないから」
「撤退してよかったですね」
「民の安全が守られるなら」 
 それならというのだ。
「ええわ」
「それでは」
「また指示出すからな」 
 こう隊長に話した。
「今はカーソンシチーの守りを固めてくれるか」
「それでは」
「カーソンシチーの傍もややこしいやろ」
「州との境、カルフォルニアの方に数万の敵軍がいます」
 隊長は即座に答えた。
「そうしています」
「そうか、そっちには一万おるけどな」
「予断を許しません」
「若しここで星のモンがその数万の兵を率いてや」 
 そうしてというのだ。
「そっちに来たらな」
「危ういですか」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「ここはな」
「カーソンシチーの防衛にですね」
「専念してもらうで」
「わかりました」
 隊長は敬礼で応えた、こうしてだった。
 スタインベックは彼を今の場所に行かせてから自軍の将帥達を集めた、そのうえで軍議を開いたのだった。
 彼は開口一番だ、こう言った。
「攻めたいけどな」
「それは難しいです」
「今の状況では」
「残念ながら」
 将帥達は口々に難しい顔で答えた。
「今我々は三方から攻められてです」
「そのどれもが大軍です」
「特にアリゾナ州のトウェイン様の軍です」
「四十万もの大軍です」
 こちらのことを言うのだった。
「国境の戦に勝利しフェニックスに向かっています」
「フェニックスを陥されると危ういです」
「そこからアリゾナ州全体の掌握に入ることは目に見えています」
「そうなりますと」
「そや、このラスベガスも危うい」
 スタインベックも難しい顔で答えた。
「そうなるわ」
「カルフォルニア州に残っている敵軍の動向も気になります」
「今は留守を守り予備戦力となっていますが」
「ヘミングウェー様かミッチェル様が十万でも率いられてカーソンシチーに攻めて来られると」
「我々は相当に危うくなります」
「カーソンシチーは危うくなります」
「そうなるさかいな」
 スタインベックもわかっていた、そうなる状況は。それで言うのだ。 
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