ハッピークローバー
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第百十二話 二つの祭りその八
「色々考えてな」
「成海ってそうしたところも真面目ね」
「真面目じゃないとな」
さもないと、とだ。成海はかな恵に返した。
「駄目だろ、人間って」
「こうしたことにも」
「悪いことはしないでな」
真剣な顔での言葉だった。
「それでな」
「真面目に生きることね」
「それでそうしたことは高校卒業までしなくてな」
そうであってというのだ。
「ゴムだってな」
「持ってて練習する」
「それだろ、っていうかかな恵も持ってるな」
「いざって時に備えてね」
かな恵は成海ににこりと笑って答えた。
「成海っちとね」
「今じゃなくてもか」
「将来は、でしょ」
「そりゃ俺だってな」
かな恵の言葉に照れた、それで顔を赤くさせて答えた。
「高校を卒業したら」
「それじゃあね」
「その時に備えてか」
「私は別に今でもね」
「馬鹿、順序があるだろ」
成海は今度は顔を真っ赤にさせて言い返した。声も上ずっている。
「そうしたことはな」
「順番があるのね」
「手を繋いでな」
「それはもうしたわね」
「迎えに行ったりな」
「それもいつもね」
「一緒にデートしたり」
さらに言うのだった。
「それはいつもか」
「登下校の時だってね」
「それからだよな」
かな恵にあらためて言った。
「キスとかして」
「それでっていうのね」
「そうだよ、順番があるんだよ」
「一気にじゃないのね」
「ああ、それで高校卒業して」
「それからね」
「かな恵も高校生でお母さんとかな」
かなり気恥ずかしいものを感じつつ言った。
「そんなのはな」
「それは流石にね」
「ないだろ」
「そうよね」
成海の言葉に同意して頷いた。
「学校のこともあるしね」
「だからな」
「卒業してからね」
「それでいいだろ」
「ゴムあっても」
「それでもな」
あくまで成海は言うのだった。
「早いだろ」
「それで駄目ね」
「ああ、それでもいいよな」
「私はね。ただね」
「ただ?」
「私も成海っちも肉食じゃないわね」
成海に少し考えてから述べた。
「こうしたことについては」
「そういえばな」
成海もそれはとなって返した。
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