星河の覇皇
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第八十五部第四章 メキシコの思惑その四十九
「そしてモーツァルトが楽譜が見えていた」
「目の前に」
「既にそうだったそうですね」
「そしてそれを描いていた」
「そこまでの才能がありましたね」
「こうした天才はまず出ない」
それぞれの分野でというのだ。
「まさにだ」
「数百年に一度ですね」
「それ位ですね」
「それ位しか出ないですね」
「エウロパのタンホイザー元帥は戦術の天才というが」
連合では忌々し気にこのことを認められている。
「しかしな」
「それでもですね」
「そのタンホイザー元帥でもですね」
「経験が備わってああなった」
「そうした天才ですね」
「幼年学校や士官学校で教育を受けていた」
正確に言うとエウロパ元帥である彼もというのだ。
「そこで戦術等の分野で既に抜群の成績だったそうだ」
「そこで学んだ」
「そして元々備わっていた才能を育んだ」
「そうなのですね」
「その様だ、そして軍人になりだ」
士官学校も卒業してというのだ、尚エウロパでも連合でも将官になる様な光球軍人はほぼ確実に軍大学を卒業しているがタンホイザーも然りだ。士官それも士官学校や大学を卒業して士官からはじまった様な者は軍務の半分は教育期間になると言っていい。
「学び軍務での経験でな」
「ああなった」
「そうして天才となった」
「そうなのですか」
「私はそう見る」
ガラサは鋭い声で述べた。
「やはりな、普通の天才でもな」
「経験が必要ですね」
「然るべき地位に就くには」
「それなりの」
「経験が人を育てるからな」
だからだというのだ。
「若し警察長官になるならな」
「警察長官に相応しい能力が必要で」
「その能力に至る経験が必要ですね」
「元々の能力に加え」
「そういうことですね」
「努力とな」
ガラサはこのことも忘れなかった。
「そしてだ」
「経験ですね」
「並の天才でもですね」
「それが必要ですね」
「そうなのですね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「彼はな」
「まだ経験が足りない」
「三十五歳では」
「どうしてもですね」
「そうだ、今は警察の要職にこのまま就いてもらい」
そしてというのだ。
「少なくとも十五年はな」
「経験を積んでもらう」
「そして長官になってもらう」
「そうお考えですか」
「十五年後私は首相ではないが」
それでもというのだ。
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