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星河の覇皇

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第八十五部第四章 メキシコの思惑その四十二

「大統領ともな」
「お話されていますね」
「左様ですね」
「首相もお考えで」
「そして大統領もですね」
「そうしている、決めないとだ」
 そうしなければというのだ。
「駄目だしな」
「警察長官は空席に出来ません」
「決して」
「要職ですので」
「それが出来ないですね」
「何があってもな、これはという人物はいるが」
 それでもというのだ。
「長官にするには若いとな」
「思われますか」
「首相としては」
「左様ですか」
「さらに経験を積んでもらってだ」
 警察でのそれをというのだ。
「そのうえでな」
「就いてもらいたい」
「首相としては」
「そうなのですね」
「そう考えていてな」
 それでというのだ。
「私としてはだ」
「その人は、ですか」
「長官にはですか」
「就けることはですか」
「そう思っている」
 早いと、というのだ。
「どうもな、まだ三十五歳だからな」
「三十五歳ですか」
「確かにお若いですね」
「警察長官としては」
「随分と」
「優秀でもな」
 それでもというのだ。
「やはりな」
「お若いと」
「経験が少ないので」
「そこが問題となりますね」
「活力はあるが」
 若いならというのだ。
「しかしな」
「どうしてもですね」
「経験が問題ですね」
「そのことが」
「経験は最大の教育だ」
 ガラサは言い切った。
「まさにな」
「その通りですね」
「経験は人を育てます」
「まさに最大の教育です」
「何よりも大きな財産になります」
「授業料は高い場合もあるが」
 金を支払わずともだ、時には苦しい経験や恥という形であることもある。そうした授業料が実に高いのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「その経験ですね」
「経験がどうか」
「それが問題ですね」
「そうだ、彼もな」
 その三十五歳の者もというのだ。
「もう少しだ」
「経験を積んでもらい」
「そしてですか」
「それからですか」
「長官になってもらおうとな」
 その様にというのだ。 
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