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ハッピークローバー

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第百十一話 チャックその七

「黒のね」
「そっちの色なの」
「それであんたもなのね」
「赤よ」
「カープね」
「それ弟にも言われたから」 
 理虹に少し笑って返した。
「赤っていうとね」
「カープだって」
「そうね」
「実際そうだしね、赤っていうと」
 この色ならというのだ。
「もうね」
「カープね」
「何と言っても。それでチャックだけれど」
 妹が言っていたそれはとだ、理虹は話した。
「あの娘どうもこれまでどの国にもあるって思ってたのよ」
「チャックが」
「だからズボンの前とかね」 
 この部分がというのだ。
「ボタンの服があるって聞いて」
「驚いたの」
「そうなのよ」 
 これがというのだ。
「どうもね」
「それはないでしょ」 
 かな恵はすぐに答えた。
「チャックって案外ね」
「出回ってない国多いってね」
「皆言うわね」
「海外の子はね」
「昔の東ドイツなんて」
 この国はというと。今は統一されて存在しない国である。
「軍服チャックなくて」
「ズボンの前がね」
「ボタンだったらしいしね」
「ドイツの子言ってたわね」
「ベルトもなくて」
 それを付ける部分がだ。
「吊りバンドだったのよね」
「海上自衛隊の七つボタンの制服もそうみたいね」
 理虹はこちらの制服の話もした。
「セーラー服とは別にある」
「昔の予科練の服よね」
「ただあっちはチャックあるから」
 ズボンの前にというのだ。
「そこは違うわね」
「そうね、何でもチャックって」
 かな恵は考える顔で言った、電話でやり取りをしている間もゲームをしている。
「結構な技術が必要で」
「日本はね」
「チャックの技術凄くて」
「かなり普及してるのよ」
「そうよね」
「何処でもありそうで」
 その実はというのだ。
「案外ないのよ」
「チャックも」
「それでね」
 その為にというのだ。
「そのチャックが普通にあるのもね」
「いいことね」
「ボタンって結構面倒な時あるでしょ」
「一つ一つ外すってね」
 かな恵はこう理虹に返した。
「確かにね」
「それでよ」
「チャックが普通にあることも」
「幸せよ、本当に東ドイツだとね」
 ドイツ統一により消えたこの国はというのだ。
「軍隊の士官の人でもね」
「軍服にチャックなかったのね」
「ついでに言えば服の仕立てや生地もね」
 こうしたものもというのだ。 
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