イベリス
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第百三十一話 吹っ切れてその八
「スポーツチームの応援も出来ないさ」
「そうですね」
「いい選手が無限に出て来るチームもないしな」
「一六〇キロ以上投げるピッチャーが次から次にですね」
「何人も絶え間なく出るなんてな」
「有り得ないですね」
「それも永遠にな、永遠に強いチームなんてあったら」
それこそというのだ。
「ライオンズ今もだよ」
「黄金時代ですか」
「九十年代のままな」
あの頃の様にというのだ。
「八十年代からな」
「九十年代前半までですね」
「ああ、あの無敵のままな」
「今もですね」
「強かったよ、けれどな」
それがというのだ。
「今はあの頃と比べたらかなり弱いさ」
「そうですか」
「あの頃次から次に凄い選手が出てな」
「西武は無敵で」
「もうその黄金時代がな」
「ずっと続くとですね」
「言ってた人もいたよ」
そうだったというのだ。
「本当にな」
「そうだったんですね」
「それが終わったんだ、巨人だってな」
「今はああですね」
「昔はその西武より強くてもな」
九連覇の時である、戦後日本を穢すおぞましい記録である。王長嶋がいたことが大きかったことは言うまでもない。
「それでもな」
「弱くなりますね」
「栄枯盛衰ってあるんだよ」
どうしてもというのだ。
「それで時としてな」
「幾ら頑張ってもですね」
「結果が出ないこともな」
「ありますね」
「そうだ、けれどな」
それでもとだ、マスターは話した。
「その時の努力がな」
「後で生きますね」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「そうした時もファンならな」
「応援することですか」
「今の巨人みたいに何もやる気がないならどうしようもないさ」
「弱いままですね」
「ずっとな」
それこそというのだ。
「暗黒時代だよ」
「そのままですね」
「ああ」
まさにというのだ。
「努力しないとな」
「悪いままですね」
「そうさ、それでな」
そのうえでというのだ。
「大事なのはな」
「努力することですね」
「ああ、それで芽が出ない時もな」
「応援することが大事ですね」
「弱いから応援しないなんてな」
そうした行為はというのだ。
「本当のファンじゃないさ」
「そうですよね」
咲もそれはと答えた。
「私もそう思います」
「そうだよな、ファンならチームが弱い時こそな」
「苦しい時こそですね」
「応援してな」
そうしてというのだ。
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