新オズの臆病ライオン
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第八幕その十二
「余計にね」
「受け入れることだね」
「それでいいのよ」
「成程ね」
「広い心でね」
「ドロシーがそう言うなら」
それならとです、臆病ライオンは頷きました。
「そこまでかなと思っても」
「受け入れてね」
「観ていきましょう」
「それじゃあね」
臆病ライオンも頷きました、そしてお話は進んでいき。
魔法使いは一人だけアメリカに気球で戻ることになってドロシーは途方に暮れてそこからグリンダと会ってです。
遂にカンサスに帰って喜びの歌を歌いますが。
幕が下りてです、ドロシーは言いました。
「この時はまさかね」
「またオズの国に来てだね」
「合わせて五回来て」
「その五回目で遂にだったね」
「オズの国に定住するなんてね」
トトにお話しました。
「思わなかったわ」
「全くだね、僕もね」
「オズの国の住人になったしね」
「ドロシーと一緒に」
「そうだったわね」
「おじさんもおばさんもね」
お二人もというのです。
「そうなって」
「それでね」
「今もオズの国にいるなんて」
「思いもしなかったわね」
「そうだったよ」
「人の運命ってわからないわね」
ドロシーはしみじみとした口調で言いました。
「本当に」
「全くだね」
「けれどね」
笑顔で言うのでした。
「オズの国に定住出来て」
「幸せだよね」
「最高にね」
「そうだね」
「運命ですね」
こう言ったのは神宝でした。
「ドロシーさん達がオズの国に定住したのは」
「そうね」
ドロシーもそれはと頷きました。
「まさにね」
「そうですね」
「キリスト教の神様とオズの国の神々に導かれた」
「運命ですね」
「だから私は今のお芝居の時にね」
「カンサスからオズの国に行かれて」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「さらにね」
「何度もオズの国に行かれて」
「そしてね」
「今はオズの国の王女様ですね」
「そうなったのよ」
「そうですね」
「その運命のはじまりを歌劇にしてくれるなんて」
舞台を観つつ言うのでした。
「こんな嬉しいことはないわ」
「そうですよね」
「ええ、あの時はカンサスに戻れて嬉しかったし」
「今もですね」
「凄く嬉しいわ」
歌劇は最後の場面に入っています、ドロシーの喜びの歌にです。
おじさんとおばさんそれにトトも加わって歌っています、ドロシーはその歌を観ながら神宝にお話しました。
「実際はここまで喜んでいなかったけれど」
「それでもですね」
「本当にね」
あの時はというのです。
「嬉しかったわ、懐かしい思い出よ」
「そうですか」
「ええ、そうよ」
こうしたお話をしました、そしてです。
皆で幕が下りてカーテンコールが行われるのも観ました、拍手を歓声が観客席を支配しますが劇場支配人の人が来てです。
皆にです、こう言いました。
「こちらから歌手やオーケストラや他のお客さんに挨拶をしてくれますか」
「ええ、私達を題材にしてくれた作品だから」
「そうしてくれますか」
「わかったわ」
ドロシーは支配人さんの言葉に頷いてでした。
皆と一緒にロイヤルボックスから席を立って今歌劇場にいる人達に笑顔で挨拶をしました、そして拍手と歓声を受けたのでした。
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