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X ーthe another storyー

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第五十話 死守その五

「助太刀しなくても」
「ああ、いい」
「天の龍のことだからか」
「そうだ」
 それ故にとだ、神威はまた答えた。
「お前は見ていてくれ」
「お前なら大丈夫だが」
「それでもだな」
「どうしてもな」
 少し自嘲気味に述べた。
「そうしたくなってくる」
「お前はそうだな」
「癖性分だな」
「そうだな、だがお前がそこまで言うならな」
「聞いてくれるな」
「そうさせてもらう」
 是非にというのだ。
「任せる」
「それではな」
 こう話してそうしてだった。
 神威はあらためて嵐に目を向けた、そのうえで。
 嵐の突進と剣撃を前にした、それは先程のものよりも激しいものだった。だが神威はそれを避けつつ。
 嵐の隙を伺った、嵐は何度も攻撃を仕掛けてくるが彼は紙一重でかわしていった。それど何度も何重ども行い。
 嵐の大上段からの唐竹割りをかわしてだ、そこから。
「今だな」
「!?」
 嵐の横に進み擦れ違う一瞬にだった。
 右手を出し首の後ろに手刀を浴びせた、それでだった。
 嵐は気を失った、そこにだった。
 丁が力を及ぼした、それでだった。
「私は・・・・・・」
「戻ったか」
 木を失ったのはほんの一瞬で嵐は倒れる前に踏み止まった、そこからふらつきながら我を取り戻した。神威もそれを見て言った。
「これで」
「一体・・・・・・」
「あまり喋らんでええ」
 空汰は駆け付けふらつく嵐を抱き止めて声をかけた。
「今はな」
「空汰・・・・・・さん」
「空汰でええわ、話は後や」
「今は下がるぞ、封真それでいいな」
「ああ、仕切り直しだ」
 封真もそれでよしとした。
「それではな」
「後でな」
「また会おう」
「近いうちにな」
「何とか成功しました」
 丁もほっとした声で述べた。
「これで彼女は天の龍に戻りました」
「よかったわ、しかしほんまどういうことや」
 空汰は嵐を抱いたまま言った。
「これは」
「詳しいお話は帰ってからです」
「してくれるますか」
「はい」
 空汰に約束した。
「そうさせてもらいます、時が来ました」
「時?」
「はい、そのことも」
「何かよおわかりませんがわかりました」
 空汰は丁に応えた、無理に納得する様にして。
「ほなです」
「それでは」
「はい、議事堂に帰ります」
「ぬかったか」
 だがここでだった。
 また丁の声がした、しかしその声は明らかに違っていた。まさに彼女とは正反対といったものだった。
「やってくれおる」
「何この声」
「姫様の声だが」
 空汰だけでなく神威も言った。 
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