キチママ泥ママ汚嫁軍団
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第一章
キチママ泥ママ汚嫁軍団
最近ユーチューブの動画では近所のおかしな奥さんや自分の浮気をする奥さんの話が多い、それでだ。
主婦の上坂恵子、ふっくらとしていて黒髪を長く伸ばしている小柄な優しい顔立ちの彼女はそうした動画を最近よく見ているが。
夫のサラリーマンの公男、黒眼鏡をかけていて小さな目と細面で黒髪を短くしている一七二位の背の痩せた彼に言った。
「最近ネット観てたらね」
「犬とか猫の動画多いね」
「いや、そういうのも多いけれど」
二人共生きもの好きなのでそうした動画も楽しんでいる。
「おかしな奥さんとか泥棒する奥さんとか」
「多いんだ」
「キチママとか泥ママとかね」
そう呼ばれるというのだ。
「おかしな奥さんがね」
「そうなんだ」
「ええ、それでね」
夫にさらに言った。
「他には浮気する」
「不倫だね」
「奥さんとかね」
「多いんだ」
「そうだけれど」
「そりゃ浮気したとかいう話はあるし」
世間にはとだ、夫はこう答えた。
「泥棒もいておかしな人もね」
「いるわね」
「僕の叔父さんなんて」
夫は自分の親戚の話をした。
「それこそね」
「ああ、あの人ね」
妻は叔父と聞いてそれが誰かすぐにわかった。
「和博さんね」
「ヤクザ屋さんと付き合いあって」
「すぐに手をあげて浮気ばかりで大酒飲んで」
「収入は多くてもね」
「そんな人でヤクザ屋さんとも付き合いがあって」
「入れ墨まで入れてね」
そうした輩でというのだ。
「遂に覚醒剤までやって」
「掴まったわね」
「こんな人もいるしね」
「変な奥さんもいるのね」
「そうだよ」
「そうなのね、ただネットのお話聞いてたら」
正確に言えば動画を視聴していればだ。
「やたらとね」
「そんな奥さん多いんだ」
「もう狂ってんじゃないかっていう様な」
そこまでのというのだ。
「キチママって言われる人達とかね」
「おかしいからキチママだね」
「泥棒するから泥ママで」
そうしてというのだ。
「浮気するので汚嫁ね」
「そういえば浮と汚って漢字として似てるね」
「そうした奥さんがね」
「矢鱈多いんだ」
「そうなのよ、レベル的に言うと」
人としてというのだ。
「和博さんとね」
「変わらないんだ」
「そうなの」
「いや、あんな人そうそういないよ」
真剣な顔でだ、夫は妻に言った。
「流石にね」
「そうよね」
「あんなレベルの人がなんだ」
「無茶苦茶多いのよ」
ネット上でというのだ。
「これがね」
「それはちょっと」
叔父のことを考えつつ言った。
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