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おぢばにおかえり

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第七十八話 教会長さんその二十四

「そう考えましたら」
「そう言うのね、ちっちは」
「ちょっと前まで正直はいいことと思っていました」
 新一君に会うまではです。
「ですが」
「今はなのね」
「そう思います」 
 そう考えが変わりました。
「けれど人を傷付けるなら」
「正直もね」
「駄目な時もありますね」
「人間の世界ってややこしいわよね」
 先輩は難しいお顔で言われました、困った様な辛い様な笑顔でした。こんな笑顔も昔はわかりませんでした。
「正しいって思ってもね」
「違ったりしますね」
「そうでしょ、それでね」
「人を傷付けるならですね」
「正直もね」 
 時としてというのです。
「おみちでは正直は大事だけれど」
「そう教えられていますね」
「嘘は駄目でも」
 これはというのです。
「時として思ったことを言わないこともね」
「大事ですね」
「隠すこともね」
「人を傷付けることは駄目ですから」
「それが第一だから」
 それでというのです。
「本当にね」
「だから言わないことも大事ですね」
「口は禍の元とも言うでしょ」
「そうですね、何でも言えばいいんじゃないですよね」
「教会長さんになるとね」
 そうなると、というのです。
「尚更だから」
「喋らないことも大事ですね」
「言っていいことと悪いことは弁えることなの」
 私を見て言われました。 
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