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X ーthe another storyー

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第四十九話 合鏡その十一

「そうだったんだ」
「そうだったか」
「一番大切な人を殺したら」
 そうすればというのだ。
「もう後はね」
「誰でも殺せるか」
「そしてどんなこともね」
「出来るか」
「君はそうなっていたんだ」
「あの時退けなければか」
「そうだったよ」
「よかった」
 封真はそう聞いて心からほっとした顔になって述べた。
「あの時そうしてな」
「妹さんを殺さないで済んで」
「それから誰も殺していないからな」
「人を殺してはいけない」
「強くだ」
 それこそというのだ。
「思っている」
「人間として」
「俺は人間だな」
 封真は牙暁に尋ねた。
「そうだな」
「紛れもなくね」
 牙暁は即座に答えた。
「そうだよ」
「そうだな、だったらな」 
 それならというのだった。
「これからもだ」
「誰も殺さないね」
「そうしていく」
「いいことだよ、そうしていって」
「戦いも終えることだな」
「自分を失っていても」
 そうした状況でもというのだ。
「誰かを手にかけたなら」
「自分を取り戻してからだな」
「必ず自分を責め苛むことになるから」
「罪の意識か」
「その恐ろしさは知っているよね」
「悪いことは誰でもするな」  
 封真は人のこの真実を出して答えた、人間生きていればどうしてもそうしたことをしてしまうものだということをわかっているのだ。
「そうだな」
「うん、それはね」
「悪事は寂しいから行う」
「誰かが言ったね」
「だがそうでなくてもな」
「人は生きていると」
「それだけでな」 
 まさにそれだけでというのだ。
「罪を犯すな」
「そしてそれに苛まれる」
 罪を犯したその意識にだ。
「そうなるよ」
「そうだな」
「誰でもね」
 それこそというのだ。
「そうだよ」
「そして俺もか」
「そうなっていたよ」
「俺自身も苦しんでいたか」
「きっとね」
「そうだったか」
「けれど君は君のままで」
 そうしてというのだ。
「小鳥も誰も殺していない」
「それでだな」
「今に至るならね」
「これからもだね」
「誰も手にかけないで」
「戦いを終える」
「そうする」
「うん、ただ次の戦いでは」
 言える範囲で言う、牙暁はこう考えて封真に話した。 
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