事件が起こるよりも

　　　　　　　　　　　　　　　　事件が起こるよりも
　警官をしている松本冴子は色々な小説を読んでいる、読書が趣味であり暇さえあれば何かしらの小説を読んでいる。
　それで今はというと。
「ファンタジーですか」
「異世界転生ものをね」
　冴子は後輩の宮田明星に答えた、冴子は黒髪を耳の付け根の高さで奇麗に切り揃えていて切れ長の知的な目と小さな唇を持っている。背は一六五程でスタイルはかなりいい。明星は黒髪をポニーテールにしていてあどけない顔立ちで微笑んだ形の赤い唇を持っている。背は一五五位でメリハリの利いたスタイルだ。冴子は黒のジャージで明星は緑のジャージで二人共思いきり部屋着である。共にシャワーを浴びて清潔な感じだ。
「読んでるのよ」
「そうですか」
「これも面白いわよ」
　仕事を終えて寮の中で部屋に来た明星に話した。
「かなりね」
「何か異世界転生ものって」
　明星はそう聞いて言った。
「よく言われますね」
「何て？」
「多過ぎるとかテンプレとか」
「ああ、最近かなり多いわね」
「アニメや漫画でも」
　そちらでもというのだ。
「かなりですね」
「多いわね」
「それで」
　そうした事情でというのだ。
「ウェブ小説なんて」
「そればかりみたいね」
「はい、先輩が今読まれてる作品も」
「小説投稿サイトで人気でね」
　文庫本を開いて読みつつ話した。
「それでね」
「そのうえで、ですか」
「そう、書籍化された作品よ」
「よくあるパターンですね」
「けれどね」
　それでもとだ、冴子は明星に話した。
「読んでみるとね」
「面白いですか」
「これがね」
「そうですか。前は恋愛もので」
　明星は冴子が読んでいる小説のジャンルの話もした。
「その前は青春もので」
「色々読んでるでしょ」
「そうですよね」
「私は面白かったらね」　
　微笑んでだ、冴子は明星に話した。
「それでね」
「読まれますか」
「そうしてるのよ」
「そうですか、ただ」
　明星は冴子と共に飲む準備をしつつ言った。