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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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最終話~帰還~

~クロスベル市・港湾区~



「わかった。――――――それでは俺達はそろそろ失礼させてもらうよ。」

「そうか………あらゆる意味で”俺”とは違う”そちらの俺”には色々と言いたい事はあるけど……俺達の世界のイシュメルガを滅ぼした事と俺やクロウ、そしてミリアムを救ってくれた事と相殺しておくことにするよ。それとシズナ、だったか。本当なら貴女の”八葉”の系譜と思われるその剣術や老師についても聞きたい所ではあるけど……それは”この世界のシズナ”から教えてもらうのが”筋”だから止めておく事にするよ。」

ルシエルの報告に頷いたリィンは並行世界の面々を見回して別れの言葉を告げ、”リィン”は苦笑しながらリィンを見つめて呟いた後シズナに視線を向けた。

「当然かな。最も”私”は幾ら可愛い弟弟子の頼みであろうと少なくても私が認める程の”力”を示さなければ教える事はないよ。――――――いつか”私”と邂逅する時に備えて、私の”この子”とまともに打ち合う為には相応の業物を用意しておくか、君の”刃”を更に研いでおいた方がいいかな。」

「ああ……そうさせてもらうよ。」

シズナの指摘に”リィン”は静かな表情で頷いた。

「ふふっ、並行世界とはいえセドリックとまた会えて嬉しかったわ。――――――そちらのわたくしがアルノール皇家を抜けた事や”冬の時代”が訪れた事でそちらの世界のエレボニアの未来を託される事になるのはわたくし以上に大変とは思うけど、貴方ならできると信じているわ。」

「ありがとう、アルフィン。アルフィンこそ、”黄昏”に加担したそちらの僕が責任を取らず出奔した事や”黄昏”の件で国外もそうだけど、国内の信頼も失ったエレボニアの未来を託された事は大変だとは思うけど、アルフィンならできると信じているよ。それと兄上、シェラザード義姉上(あねうえ)、この世界の僕に代わりお祝いを申し上げます。――――――ご結婚、おめでとうございます。」

「フフ、並行世界とはいえ皇太子殿下にまで祝いの言葉を送られるなんて何だか新鮮に感じるわね。」

「フッ、そちらの”私達”が少しだけ羨ましいよ。何せ”そちらの私達”の結婚式ではアルフィンとセドリック、エステル君達やリィン君達、そして異世界の友人達にも祝わってもらえるのだからね。」

アルフィン皇太女の応援の言葉を返したセドリックはオリヴァルト皇子とシェラザード皇子妃に祝いの言葉を送り、セドリックの言葉にシェラザード皇子妃が苦笑している中”オリヴァルト皇子”は静かな笑みを浮かべて呟いた。

「あたし達の世界のオリビエとシェラ姉が結婚する事も確信しているとか、”そういう所”も世界は違ってもオリビエはオリビエね……」

「まあまあ。それに僕達の世界のオリビエさんとシェラさんも”影の国”の帰還時に意味深なやり取りをしていたから、この世界のようになる可能性は高いと思うよ。」

「え、えっと……ミント達の世界のみんなもわかっているとは思うけど、オリビエさんとシェラお姉さんが結婚した話はミント達の世界にとっては”未来”になる話だから、その”未来”の話をしたらミント達の歴史が変わる可能性も十分に考えられるから、ミント達の”未来”を変えない為にも絶対に誰にも話さないでよね……!?」

エステルはジト目でオリヴァルト皇子を見つめた後呆れた表情で溜息を吐き、ヨシュアは苦笑しながらエステルを諫め、ミントは疲れた表情でリィン達に指摘した。

「未来のキーアから”わたし達の未来”の一部をネタバレされているわたし達にとっては今更かつ無意味な注意なのですが。」

「アハハ………」

ジト目のティオの反論を聞いたキーアは冷や汗をかいて苦笑し

「ふふっ、わたくし達の世界のお兄様とシェラお義姉(ねえ)様も結ばれるようにお兄様を焚き付けた方がいいかもしれませんわね♪」

「姫様……余計な事はしない方がいいと思うのですが……」

アルフィンの提案を聞いたエリスは呆れた表情で指摘した。

「―――――ミリアムちゃんを人間に戻す方法は先程伝えた通りです。そちらでもどうかミリアムちゃんを人間に戻してあげて下さいね。」

「はい、状況が落ち着いた後に貴女達から教えてもらった方法で必ずミリアムちゃんを人間に戻してみせます。ミリアムちゃんを人間に戻す方法もそうですが、ミリアムちゃんにとって大切な”相棒”である”アガートラム”の場所まで教えてくれて、本当にありがとうございました。」

エマに話しかけられた”エマ”は頷いた後感謝の言葉を口にした。



「並行世界とはいえ、レーヴェどころか生まれ変わった姉さんとまで会えて嬉しかったよ。――――――二人とも元気で。」

「フフ、貴方もね、ヨシュア。」

「エステル・ブライト共々達者でな。」

「……………………」

互いに別れの言葉をかけあっている”ヨシュア”とプリネ、レーヴェの様子を”レン”は僅かに寂しそうな表情を浮かべて黙って見守っていたが

「それと………お前も達者でな、”レン”。」

「……………ぁ………どう………して……?”そちらのレン”は結社でレーヴェと親しくなった……訳じゃないのに……」

レーヴェが自分に近づいて頭を優しく撫でると思わず呆けた声を出してレーヴェを見つめて呟き

「”俺”だからこそ、”この世界の俺の考え”を理解でき、”この世界の俺の代わり”をしたまでだ。――――――”過去”と向き合い、エステル・ブライトとも向き合った事……本当に頑張ったようだな。お前の成長の速さには間違いなく”この世界の俺”も誇っているだろう……」

「レー………ヴェ………ふふっ、もうすぐ一人前のレディになるレンを子供扱いするのはどうかと思うけど………レーヴェだから、特別に許してあげるわ……」

「よかったね、レンちゃん………」

静かな笑みを浮かべて答えたレーヴェの答えを聞いて一筋の涙を流して泣きそうな表情を浮かべた”レン”だったがすぐに笑顔を浮かべて答え、”レン”の様子を”ティータ”は優し気な微笑みを浮かべて見守っていた。



「私達の世界に帰ったら私達の世界のケビンとリースにも言うけど………――――――それじゃあね、ケビン、リース。二人の成長した姿を見る事ができて嬉しかったわ。」

「姉様………」

「……………………」

ルフィナは”ケビン”と”リース”を抱きしめて別れの言葉を告げ、他の面々と違い、ルフィナは自分達の世界に戻った後すぐに”本当の意味での別れ”も待っている事も理解していたリースとケビンはそれぞれ辛そうな表情を浮かべ

「姉様……私も姉様とまた会えて話をすることができた上抱きしめてもらえて、本当に嬉しかった。」

「ハハ……まさか姉さんとの別れを3度も経験する事になるとは思わんかったわ……けど、それでもこうして顔を合わせて姉さんのぬくもりを感じながら別れの言葉を言える事ができて本当によかったわ。”本物の空の女神”もこの場にいらっしゃっているから、冗談抜きで空の女神(エイドス)による導きやな……」

「こらそこっ!何でもかんでも空の女神(わたし)のせいにしないでくださいっていつも言っているでしょう!?」

「いい加減、ちょっとはその場の空気をよみやがれなの~!」

「全く、”そういう所”も私達の世界の女神(エイドス)と同じだな……」

ルフィナに抱きしめられた”リース”と共にルフィナに対する別れの言葉を”ケビン”が口にするとエイドスが顔に青筋を立てて指摘し、その様子にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ノイが指摘し、”ツァイト”が呆れた表情で呟いた。

「ふふっ……二人ともいつまでも仲良く、元気でね。」

「!そのセリフは……!」

「ハハ……さすが”本物同士”だけあって、”影の国”での別れ際のルフィナ姉さんのセリフと同じやな……」

苦笑した後微笑みながら口にしたルフィナの別れの言葉に覚えがある二人のケビンとリースはそれぞれ驚いた後リースは信じられない表情を浮かべ、ケビンは苦笑し

「姉様……!うん……!」

「今まで本当にありがとう……さよなら……ルフィナ姉さん……」

”リース”は一筋の涙を流しながら微笑み、”ケビン”は口元に笑みを浮かべてルフィナに別れの言葉を告げた。



「マスター……並行世界とはいえ、また貴女にお会いする事ができて感激でしたわ……!」

「例え世界は違えど、リアンヌ様はリアンヌ様です。リアンヌ様が”黄昏”を越えても生きていらっしゃっている世界もある……その事実を知る事ができて嬉しかったです。」

「僅かな間とはいえ、マスターと共に戦えた事、光栄でした。――――――どうかお元気で。」

「フフ……本当に(リアンヌ)は幸せ者ですね………貴女達が決めた道、必ず辿り着ける事をこの世界のリアンヌに代わり心から祈っています。」

並行世界の鉄機隊の面々の言葉に苦笑したリアンヌは微笑みを浮かべて並行世界の鉄機隊に応援の言葉を送った。



そして――――――リィン達がレボリューション内へと乗り込むとレボリューションは離陸し、”零の至宝”キーアによって開けられた異空間ゲートに入って自分達の世界へと帰還した。



「さてと……――――――クローディア姫。後少しの間だけ、アルセイユⅡの力を貸してもらってもいいかな?」

「お兄様?」

「構いませんが……一体何の為に使うのでしょうか?」

レボリューションを見送った後確認してきた”オリヴァルト皇子”の確認にアルフィン皇太女が不思議そうな表情を浮かべている中、”クローディア王太女”は目的を訊ねた。

「それは勿論、大切な家族であるリィン君の無事の帰還を今もなお信じ続けてくれているシュバルツァー男爵夫妻にリィン君の無事の帰還を知らせる為もそうだが、何よりも生還したその日くらいは家族団欒で過ごすべきだろうからね。」

「あ………」

「父さん達の元に――――――ユミルに……その、殿下のご厚意はありがたいですが、”(はじまり)の翼”作戦を終えたばかりのクロスベルにはやる事がたくさんあるのですから、みんなが忙しくしている状況で俺だけ休む訳には……」

”オリヴァルト皇子”の答えを聞いた”エリゼ”は呆け、”リィン”も呆けた後謙遜した様子で”オリヴァルト皇子”の申し出を断ろうとしたが

「ハハ、俺達の事は気にする必要はないさ。」

「ええ。クロスベルの復興には多くの人達が力を貸してくれているのだし、何よりも貴方はこの世界の為に今までずっと大変な苦労をしてきたのだから、帰還したその日くらいは休んでも誰も文句は言わないわよ。」

「それに君の場合、ミリアムやクロウと違って帝国に戻ったら忙しくなるのは目に見えているんだから、せめて帰還した日くらいはゆっくり休んでくれ。」

「今日くらいはわたし達に任せて、教官はご家族の元で英気を養って下さい。」

「みんな……ありがとう。それじゃあお言葉に甘えて父さん達の所に顔を出そうか、エリゼ。」

「はい、兄様。帰りましょう――――――私達の故郷――――――ユミルに。」

”ロイド”や”エリィ”、”マキアス”や”アルティナ”の気遣いの言葉に目を丸くした”リィン”は仲間達の厚意を受ける事を決めた後”エリゼ”に声をかけ、声をかけられた”エリゼ”は微笑みを浮かべて頷いた。



ゼムリア歴1205年8月1日――――――



~レボリューション・ブリッジ~



「何とかみんな無事に元の世界に戻ってこれたな……」

異空間を通ったレボリューションが自分達の世界である元の世界に到着するとリィンは安堵の溜息を吐き

「これで”私のこの世界での役目”は終わりだね。――――――私はここで失礼するね。」

「―――――待ってくれ、キーア。」

”零の至宝”キーアが今すぐこの場で去る事を告げるとロイドが呼び止めた。

「……何?」

ロイドに呼び止められた”零の至宝”キーアは不思議そうな表情でロイドを見つめ

「―――――ありがとう。”君”にとっても想定外な事だったとはいえ、俺達と並行世界の俺達の為に力を貸してくれて。それだけは言っておきたかったんだ。」

「貴女は貴女の世界に帰ったら今後どうするのかはわからないけど………――――――元気でね、キーアちゃん。」

「世界は違ってもキーアはキーアです。どうかいつか幸せになってください。貴女が幸せになる事はわたし達もそうですが貴女の世界のわたし達も祈っているのですから。」

「ま、寂しくなったら俺達の所でよければいつでも顔を出してもいいんだぜ?」

「ロイド……エリィ……ティオ……ランディ………ふふっ、世界は違ってもロイド達にまた会えた事、”キーア”も嬉しかったよ。――――――ロイド達もどうか幸せになってね。」

ロイド、エリィ、ティオ、ランディの自分に対する気遣いの言葉に驚いた”零の至宝”キーアは微笑みながら答えた後転位魔導を発動してその場から消え、自身の世界へと帰還した。



「さて……次は私達が帰還する番ですね、エイドス様。」

”零の至宝”キーアが去った後ルフィナはエイドスに声をかけたが

「え?何を言っているんですか?”私達がそれぞれの時代に帰還する日は並行世界のリィンさん達を元の世界に送り届けた日の二日後ですよ?”」

「……はい?」

「え、えっと、エイドスさん?エイドスさん達が帰還する日は並行世界のリィン達を並行世界に送り届けて元の世界に帰還したその日だったんじゃ……?」

エイドスは不思議そうな表情で首を傾げて予想外の答えを口にし、その答えにその場にいる多くの者達が石化したかのように固まっている中我に返ったエステルはジト目になって呟き、ヨシュアは困惑の表情でエイドスに確認した。

「逆に聞きますが私がいつ、そんな事を言ったのですか?私はそんなこと、一言も言っていませんよ。」

「……確かに言われてみれば、エイドス様達は帰還する明確な日を言っていない。」

「せ、せやけど『本来はこの時代にいないはずのエイドス様達は一刻も早くそれぞれの時代に帰還しなければならない』ってミントちゃんが言ってたんやから、時空間が安定している以上元の世界に帰ったらすぐにエイドス様達もそれぞれの時代に帰還する流れやと、事情を知っている人達ならみんなそう思うのが普通なんですが……」

エイドスの指摘にリースは反論せず、静かな表情で呟き、直感で嫌な予感を感じたケビンは冷や汗をかきながらエイドスに指摘した。



「それはあなた達の勝手な考えじゃないですか。まだ、肝心なやり残したことがあるのですから、それをせずに帰る訳ないじゃないですか。」

「エイドス様にとって”肝心なやり残した事”、ですか?」

「まさか……”至宝”関連の事でしょうか?」

エイドスの話から出て来た気になる言葉を聞いたセレーネは首を傾げ、エマは真剣な表情でエイドスに訊ねた。

「それは………――――――オリヴァルト王子に手配して頂いた『二泊三日のクロスベルのミシェラムワンダーランド貸し切りによる私達と皆さんのお別れパーティー兼親睦会』ですよ♪」

そして一瞬だけ真剣な表情を浮かべた後笑顔を浮かべて答えたエイドスの答えに事情を知っている者達を除いたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。

「エ、エイドス……その話は僕達も初耳なんだけど……」

「しかも兄上まで関わっているという話も僕達も初耳なんですが……」

「もう、お兄様ったら………」

「ふふっ、まさかそのような大事(おおごと)を私に悟られないように進めていたなんて、さすがですわ♪」

我に返ったアドルは疲れた表情で指摘し、セドリックは苦笑しながら呟き、アルフィンは呆れた表情で溜息を吐き、ミュゼはからかいの表情で呟いた。

「ちなみにリィンお兄さん達や他の”灰獅子隊”の部隊長達もそうだけどレンやプリネお姉様、それにロイドお兄さん達も”空の女神とその一族の接待”という名目で、今日から明後日までエイドスお姉さん達と過ごす手配になっているわよ♪後ついでにリーシャお姉さんやヴァンお兄さんに、エレインお姉さんやジンおじさん、セリカお兄さん達、ロゼや”紅き翼”に協力していた執行者の人達も招待されているし、明日はパパ達やヴァイスお兄さん達、後はオリビエお兄さん達やクローディア王太女達等と言った”影の国”の残りのメンバー、それにレミフェリアのVIP達も参加予定よ♪」

「なっ!?そのような話、今初めて聞きましたよ!?」

「リィンと同じく俺達も初耳だぞ!?」

「しかもセリカ達やクローゼ達まで招待されているの!?」

「と言うかロゼどころかヴィータ達元結社の連中まで招待したって……一体どうやって神出鬼没なあの連中に招待状を出したのよ?」

「……どうやらヴァイスさん達やリウイ陛下達もオリヴァルト殿下とエイドスさんの”不意打ち”に関わっていたようですね。」

「そもそも放蕩王子が”クロスベルの遊園地を貸し切りにしたって話の時点”で、リア充王達も関わっている事に気づくべきだったな。」

「フフ、僕達の世界の皇族の連中は揃いも揃って”不意打ち”をするのが趣味みたいだねぇ?」

「笑いごとじゃないわよ……”空の女神”の一族に加えて各国のVIP達まで参加される親睦会とか、クロスベルにとって”西ゼムリア通商会議”の時以上のとんでもない外交の大事(おおごと)じゃない……」

「はい……警備体制とか大丈夫なんでしょうか……?」

からかいの表情で答えたレンの話を聞いたリィンとロイド、エステルはそれぞれ驚きの表情で声を上げ、セリーヌはジト目で疑問を口にし、ティオはジト目で呟き、ランディは疲れた表情で呟き、静かな笑みを浮かべて呟いたワジに疲れた表情で指摘したエリィは溜息を吐き、エリィの言葉に頷いたノエルは疲れた表情で自身の心配事を口にした。



「アハハ……でも、こんな”不意打ち”なら大歓迎だよね。」

「フッ、そうだね。――――――それよりも真夏の今の時期にビーチもあるワンダーランドを貸し切りにしたって事は……ハッ!?この場にいる女性達やリィン君達と契約している麗しき異種族の面々もそうだが、空の女神やその母親、そして先祖の水着姿にセリカさんが侍らしている可憐なる女性達、そして各国の麗しき女性VIP達やクロチルダさん達の水着姿を目にすることができるまさに一生に一度しかない機会じゃないか……!?」

「こ、この人は……」

「つーか、レミフェリアのVIPも参加予定ということは、まさかとは思うがルーシーの奴も招待されているんじゃねぇのか?ったく、クローゼと一緒に今までの事について色々と言われる事を考えると気が滅入っちまうぜ……」

「フフ、クロスベルの大掛かりな娯楽施設は噂では聞いていたが、まさかこのような形でご相伴させてもらえるとは私にとっても予想外だったけど、ご相伴させてもらえる以上、存分に羽を伸ばさせてもらおうかな♪」

「姫……お願いしますから、あまりはしゃぎ過ぎないようどうか”自重”を心がけるようにして下さい……」

苦笑しながら呟いたトワの意見に頷いた後ある事に気づいて真剣な表情で声を上げたアンゼリカの発言にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて脱力している中アリサはジト目でアンゼリカを見つめ、レクターは疲れた表情である推測をした後苦笑を浮かべ、興味ありげな表情を浮かべているシズナにクロガネは頭を抱えて疲れた様子で指摘した。

「クク、どうやらヘイムダルに帰って即解散という訳にはいかなくなったようだな?」

「ハハ、そうだな……――――目的地をヘイムダル空港からクロスベル空港に変更。エイドス様達にとってこの時代を過ごす残り少ない貴重な時間だから、全速力で向かってくれ。」

「イエス・コマンダー!!」

口元に笑みを浮かべたクロウに話しかけられたリィンは苦笑しながら答えた後ブリッジ内の軍人達に指示を出し、突然の休暇で騒がしくなり始めたリィン達を乗せたレボリューションは進路をクロスベルへと変えて全速力で向かい始めた。



こうして……仲間達や世話になった国の為に一度は仲間達との絆を捨ててでも戦争で成り上がった英雄は仲間達との絆を取り戻し、更には新たな絆や過去の絆による仲間達、そして取り戻した絆による仲間達と共に新たな未来へと歩み始めた――――――

 
 

 
後書き


これにて灰の騎士の成り上がりは完結です!とはいってもそれぞれの後日談であるエピローグがまだ残っていますので、それが終わりましたら更新していない小説の再開か黎篇である黎の陽だまりを本格的に更新するつもりです。 
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