魔法少女リリカルなのはvivid 車椅子の魔導師
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三話
放課後…。クラスは部活動に勤しむ人とすぐに帰宅する人にわかれる。
あ、この図書館に来るって人もいるね。結構色々な本があるから、探すのが大変だけど…
「あの、歴史系の本を探してるんですけど…」
「どの時代ですか?」
「アルハザードの時代なんですけど…」
「でしたら…」
魔法を発動させる。10秒くらいすると、僕の手に一冊の本が現れる。
「これとかはどうでしょうか?諸説とかも色々纏まっているので、読みやすいかと」
「ありがとうございます」
僕の図書館での呼ばれ方は司書さん。一応、管理人はいるだけどね。僕がここで検索魔法を使って本を探してる事が耳に入ったのか、普段の司書さんって事になっちゃったんだよね
≪今日は人が少ないですね≫
「部活動に行く人が多いんだと思うよ?この図書館は本を探すのだけでも、一苦労するからね」
ま、その為に僕がいるんだけど…
僕は適当に目についた本を読みながら、図書館内を巡回して回ってるんだ。一定の場所にいてもいいんだけど、それだとカウンターになっちゃうからね
≪今日は何を読んでいるのですか?≫
「今日は古代ベルカ、聖王戦争時代の事が書かれた書籍なんだ」
詳しい事までは載ってないんだけどね…。あくまで諸説や伝記から引っ張ってきた物…
≪そう言えば、あのストラトス様は…≫
「ん?ストラトスさんがどうかした?ロンド」
≪あの虹彩異色の瞳の色は覇王家に出るものだったと思うのですが…≫
覇王?それって“シュトゥラの覇王”の事?
≪はい。“シュトゥラの覇王”クラウス・G・S・イングヴァルトです≫
「でも確かに末裔とかはいてもおかしくないけど…」
眼の色がそうなっちゃってるって事は相当、血は濃いよ?
≪直系の子孫と考えてもおかしくないかと…≫
「まぁ決め付けちゃダメだよ。そう言うのは、本人に聞かなくちゃね」
まぁ、ストラトスさんはまだ来てないみたいだけどね。魔力も気も感じないし…
「今日は後どれくらいで終わり?」
≪約二時間ですね。別に強制ではないのですから、帰ったらどうですか?≫
流石にそれは出来ないなー
「司書さん。こんにちは」
「「こんにちは」」
話しかけてきた初等科の制服を着た三人の少女。この図書館に結構な頻度でいる初等科の子達なんだ
「こんにちは。高町ちゃん、ウェズリーちゃん、ティミルちゃん」
高町ヴィヴィオちゃん、リオ・ウェズリーちゃん、コロナ・ティミルちゃん。初等科四年の仲良し三人組だ
「今日はどんな本をお探しかな?」
「オススメお願いしていいですか?」
オススメね。それじゃあ、今日のオススメは…
「これかな?」
出て来たのは変換資質について詳しく載っている本。一時期は僕もお世話になったなー。この本
「変換資質について…ですか?」
「うん。僕が初等科の最初の方で読んだ本だね。これって結構、変換資質持ってる人の弱点とか割り出せるから役に立つと思うよ?」
これでインターミドルの変換資質持ちの対策立ててたし…
「はい。ありがとうございます!」
「ウェズリーちゃんとティミルちゃんはどうするの?」
「私もオススメでお願いしまーす」
「私もオススメで…」
二人とも同じね…
さて、どんなのがいいかな?
悩んだ結果、こうなった…
「ウェズリーちゃんにはこれ、ティミルちゃんにはこれかな?」
ウェズリーちゃんにはストライクアーツ専門を、ティミルちゃんにはゴーレム生成関連の本を…
「「ありがとうございます!」」
よし。これでいいね
「じゃあ、カウンターで借りる受付してね。返す時はまた放課後に僕のところに来てくれればいいから」
「「「はい。失礼します」」」
高町ちゃん達はカウンターの方に行ってしまった…。さて、見回り続けなきゃね
「ロンド」
≪はい。今日は少し奥の方も見て来ましょうか≫
「そうだね。週に一回ぐらいは奥の方も見ておかないとね」
≪では移動します≫
僕はその後、閉館時間になるまで奥の方をずっと巡回してました
閉館時間になり、誰も残ってないかを確認する…
「うん。誰も残ってないね」
≪どうやらそのようです≫
じゃあそろそろ大丈夫かな?
「もう出てきていいよ。ストラトスさん」
後ろの本棚に向かって、そう言うと…
「気づいていたんですか?」
本棚の影からストラトスさんが姿を現した…
「閉館時間まで、僕の事ずっとつけてたね。よく飽きないもんだ」
「貴方の仕事の邪魔にならない様にしていただけです」
それでずっと付け回すのはどうかと思うよ?
「まぁ気づいたのは奥に行ってからなんだけどね。それじゃあ話してもらうよ?」
「はい…」
読書用のテーブルに行き、向かい合って座る…
「今日の実技模擬試験。なんでスン止めルールを破ったか、だけど、ミルテの戦い方が気に入らなかったんだよね?」
「っ!?」
目を見開き、何故と言った表情でこちらを見るストラトスさん
「やっぱりね…。ストラトスさんがこう言う武術系の事に関して真剣なのはわかるよ。普段でも全然隙ないもんね」
「そこまでわかっているのに何故私と話したいと…?」
「単に話してみたかったのもあるんだ。ストラトスさんってあまり他の人と話してないみたいだから」
興味本位ってわけじゃない。理由はもう一つあるし…
「ストラトスさん。ミルテを許してあげてくれないかな?」
「えっ…?」
「ミルテも普段はマジメにストライクアーツをやってる子だよ。でも、自分より強いって感じちゃうと、やっぱりあんな戦い方になっちゃうんだ。あれはおふざけでも、おちょっくてるわけでもないの。だから、許してあげてくれないかな?」
ストラトスさんに頭を下げる…
「そ、そんな!悪いのはこちらですし、頭を上げて下さい。なんだか、私が悪者みたくなってしまいます…」
「ミルテの事、許してくれるかな?」
「許すも何も、謝るのはこちらですから…」
良かった。これでギクシャクしなくて済むね
「ありがとう。ストラトスさん」
「い、いえ…」
お礼を言われる事は慣れてないのかな?
「あの…エーレンさん」
「クロムでいいよ。そっちだと呼びづらいでしょ?」
「あ、はい。クロムさん」
うん。これでいい。ファミリーネームで呼ばれるのってあまり好かないんだよね…
「それで何かな?」
「どうして、そこまでするのですか?」
ミルテの事かな?
「親友だし、初等科の時からお世話になってるからね。親友を助けるのと同時に恩返しってやつだよ。まぁこんなんじゃ、恩の一つも返せないけどね」
「そう…ですか…」
どこか寂しそうな顔をするストラトスさん
「ねぇストラトスさん」
「はい」
「明日。ミルテと話してみない?」
ミルテも謝りたいって言ってたし、丁度いいかな?
「エシェルさんと…ですか?」
「嫌…かな?」
少し気まずいとは思うけど…
「いえ、今日の事も謝りたいですし」
「なら、明日の朝。7時10分くらいに学校に来るといいよ」
「何故ですか?」
「来てみればわかります」
この時間じゃないと、ミルテは色々と忙しいからね
「わかりました」
「うん。じゃあもう閉めるから先に出ててくれるかな?」
ストラトスさんを先に外に出して、最後のチェックに入る…
「ロンド。図書館内に飛ばしてたスフィアの結果は?」
≪残っている人はいませんね。サーモセンサーも発動しないので、大丈夫だと思います≫
よし。なら鍵閉めて終わりだね
外に出て、図書館の扉の鍵を閉める。
「これで終わりっと。ストラトスさん。荷物は?」
「教室です」
「なら取りに行かなくちゃね。僕も鍵、職員室に返してこなくちゃならないから、一緒に行こうか」
ストラトスさんと教室の方に戻る…
≪マスター。どうしますか?≫
「ああ、うん。忘れてたよ」
僕の目の前には階段…。降りるのは浮遊で降りてるんだけどね?上るのは極力自分の足でやってるんだ…
「あーストラトスさん。先に行ってもらっていいかな?」
「どうかしましたか?」
「ちょっとこの姿は見られたくなくてね。いいかな?」
ストラトスさんは少し考え…
「わかりました」
そう言って、先に階段を上って行ってしまう
「じゃあロンド。お願い」
≪はい≫
両足に変換した魔力を込める…
「せーのっ!」
車椅子の手すりを持ち、一気に立ち上がる
「こんなとこ、見せたくないしね」
いくらリハビリって言っても、激痛の伴うリハビリだしね。こんな姿は見せたくないんだよ
「っ!?」
≪マスター!?≫
バランスを崩してしまい、踊り場のところで倒れてしまう…
「大丈夫。心配ないよ…。少しバランス崩しただけだから…」
両手で階段の手すりを掴み、力を入れて立ち上がる…はずだったんだけどな~…
「どうしてここにいるのかな?ストラトスさん」
僕の体を起こしてくれているのはストラトスさん。先に行ってって言ったはずなんだけどなー…
「心配でしたので、すみません」
「はぁ…ありがとう。助かったよ」
実はこうやって助けてもらうって事は初めてだったりするんだよね。アスやミルテとは登校時間違うから…
普段から助けてくれる人なんていないしね。
「少し立たせてくれるだけでいいよ。そこからは自分で出来るから」
「はい」
少し立たせてもらって、階段の手すりに掴まる
「よいしょっと」
そこから上まで自分で歩く。ストラトスさんは何故か、後ろを歩いている。倒れてもいいようにいてくれてるのかな?
「ロンド」
≪はい≫
上まで上り切れたので、ロンドが車椅子を操作し、僕を乗せる…
「職員室までお願い」
≪了解です≫
「ストラトスさん。先に教室に行っててくれますか?」
「あ、はい。わかりました」
ストラトスさんを先に教室に向かわせて、職員室のドアをノックする
「失礼します。図書館の鍵、返しに来ました」
「あ、エーレン司書。お疲れ様でした」
気づいてくれたのは図書館を受け持ってくれている先生。
「先生。そのエーレン司書って言うの止めてくれませんか?先生にそこまで畏まられちゃうと、困っちゃうんですけど…」
この先生は僕が図書館の司書紛いな事をやり始めた時からずっとこう呼んでるんだよね。こっちとしては先生にここまで腰の低い態度を取られると困ると言うか、なんというか…
「いえ、私の代わりにあの図書館の本を管理してくれたりしてるんですから、このくらいは…」
この先生って結構頑固でこれだけは譲ろうとしないんだよねー
「まぁいいです。ではこれを返しに来ただけですので…」
先生の手の上に図書館の鍵を乗せる
「はい。ちゃんと受け取りました。お疲れ様でした。エーレン司書」
「では失礼しました」
軽くスルーし、職員室を出る。すると、職員室の前にストラトスさんが立っていた…
「あれ?どうしたの?」
「ついでですので持ってきました」
ストラトスさんの手には僕の鞄。態々持ってきてくれたんだ
「ゴメンね?でもありがとう」
お礼を言い、鞄を受け取る…
「いえ、ついででしたから…」
ん?少し顔が赤いような…。でも夕日で赤いだけ…だよね?
「それじゃあ。帰ろうか。家まで送るよ。ストラトスさん」
「いえ、そこまでしていただくのは…!」
迷惑かな?
「迷惑だったかな?この時間帯は変なのもうろついてるし、女の子1人じゃ心配だけど…」
「め、迷惑ではないですが…」
んー…何か隠してるって言うか、そんな感じがするけど…
「わかった。そこまで言うなら、今日は諦めるよ」
「すみません。せっかくのご厚意を…」
「いいよ。僕のはただのお節介だから。気にしないで」
少し顔が暗くなってしまうストラトスさん
「なら校門まではいいよね?“アインハルトさん”」
「あ、はい」
名前で呼んでも大丈夫って事かな?
「呼んでおいてなんだけど、いいの?名前」
「はい。構いません」
そう。なら良かった
その日はアインハルトさんを校門まで送り、自宅への帰路へとついた…
後書き
三話です
今回はアインハルトとの絡みを中心的に書いてみましたが、どうでしたでしょうか?
ヴィヴィオやリオ、コロナはもう少し待って下さい。
更新はいつも通りまばらになります
では感想をお待ちしています
駄文失礼しました
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