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魔法少女リリカルなのはvivid 車椅子の魔導師

作者:月詠
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二話

先生の声で開始された模擬戦。距離は三メートルくらいでアスのデバイスは汎用型のデバイス。

「シューターセット」

アスの回りに浮かぶのは五つのシューター…

「射撃型だったよね。確か」

僕自身が近接型だから結構難しいんだよね

「シュート!!」

アスの声と共にこっちに向かって飛んでくる五つのシューター。昔より速くなってるね…

「ロンド。前に出るよ」

≪少々運転が荒くなりますので、ご注意を≫

ロンドが荒いって言うとホントに荒いからなー。マジで掴まってよ

シューターは全部同じ方向に飛ぶわけじゃない。撃つ人によってだけど、普通に考えたら同じ方向に全部は飛ばさない…。

≪シューターの軌道はおそらく車輪です。車輪に二発、マスターに三発≫

その軌道なら…

「ロンド、そのままアスに突っ込む勢いで行って。迎撃する」

≪はい≫

右手に魔力を集中させる…

「これで充分」

やがて右手からバチバチと音が立ち始める…

「そりゃ!」

シューターに向かって思いっきり右手を振りぬく。雷はもちろんシューターに向かって撃ちだされ相殺する…

「予想はしている…!」

アスの回りにはさらに五つのシューター。まぁあれだけ時間あれば出来るよね

「今度は相殺じゃ済まさないよ?」

≪高速機動。荒く揺れますのでご注意を≫

速いシューターを避けるのに右へ左へ。普通の車椅子では絶対に出ないであろうスピードで避け続ける

どれくらいかって?んー体育館の床に止まった時に黒く跡が残るくらいかな

「ロンド。雷付与!」

≪スタンショット≫

アスの隣まで高速機動だけで来れた。行ける!

「緊急停止!」

「ぐっ!?」

スタンショットが少しアスに入ったところで車椅子を緊急停止…

アスはそのまま吹っ飛び、扉ぶつかって止まる。

「そこまで!クルス、フィールドアウト、気絶の為エーレンの勝ちだ」

終わった…。疲れたよ…

≪アス様は大丈夫でしょうか?≫

「あーどうだろう。結構思いっきりグーパン腹に入れちゃったからな…」

スタンショットって言っても即効性な物じゃないからね。10秒くらいの時間差があるんだ

「心配ない…」

アスが歩いてこっちに来た…

「やっぱり少し後ろに飛んだ?」

「わかってたか…」

気絶してこんなに早く戻って来るはずないし。だとしたら少しでも衝撃を減らす為に後ろに飛んだって事しかないよね

「インターミドル……。どうする気だ…?」

「アスは今年から出るんだよね。僕は…多分、無理かな」

こう言う軽い試合は出来ても、インターミドルみたいな本格的な試合は出来ないし、まず動けないと思うから…

「まだ……ダメなのか…」

「ゴメンね。約束してたのに…」

アスとはミルテ同様、初等部からの付き合いでよく一緒に特訓した仲なんだ…。まぁ僕は近接、アスは遠距離だから苦手克服のし合いだったけどね。

初等部四年。初出場で都市本戦まで進んで最年少記録で都市本戦二位になった年。僕とアスは一つの約束をした

「確か俺はもっと強くなる。そしたら一緒にインターミドルに出ようだったかな?」

「よく覚えているな……。そんな昔の事……」

昔ってそこまで昔でもないよ?ほんの三年前の話だよ

「インターミドルの事は気にするな……。俺は一人でもいける…」

「うん」

少し話していると女子の方がざわついた…

「どうしたんだろ?」

「誰か怪我でもしたか……?」

「様子見に行ってみようか」

体育館を半分に区切って半分を女子、半分を男子で使っているんだ。半分に区切った場所に行けば、女子の体育風景を見れるんだけどね…

普通は行かないよ?女子の方の先生は男子の先生より怖いから…

「どうかした?」

近くにいたクラスの女子に聞いてみる。

「あ、ちょうどいい所に。ミルテが少しね」

「ミルテに何かあったのか……?」

「あれ」

女子が指さす方を見る…

「……!!」

「ミルテ!」

体育館の床に倒れているミルテの姿…

僕とアスは区切りを越え、ミルテの近くに急ぐ

「ミルテ」

「なんだ。幼馴染みの二人か」

ミルテの近くには先生もいた…

「アス。どう?」

「気絶してるだけだ……。外傷はない…」

良かった…

「クルスはエシェルの事、保健室まで連れて行ってやってくれないか?」

「わかりました…」

アスはミルテを背負い、走って行ってしまった。

「さて…」

ミルテのいた方向とは別の方向を向く先生

「寸止めって話、聞いてなかったのか?ストラトス」

「すいません。少し力を入れ間違えました」

ミルテの相手、碧銀の髪に虹彩異色の瞳。アインハルト・ストラトス…

「力入れ間違えたって、私の目には間違えた様には見えなかったが?」

「少しいいですか?」

話に割って入る…

「ストラトスさん。ミルテの防護《フィールド》を抜かないでくれたのはありがとう。目立った外傷はないみたいだから安心して」

それを言うとこちらを見ていたストラトスさんの目から不安が少しだけ消えたようだ…

「でも、防護を抜かないように手加減が出来る人が寸止めを忘れるはずないですよね?」

「っ!?」

「ミルテが何か失礼な発言でもしたのかな?それだったら、僕が代わりに謝るよ」

普段の仕草からしてほとんど隙がないストラトスさんだ。防護を抜かないように手加減してくれたんだよね。でも、それが出来る人がスン止めルールを忘れるはずがない…

「……」

うーん…。まぁ原因は大体はわかってるんだけどね。仕方ないか…

「わかった。この事に関してはもう聞かないよ」

【今日の放課後、図書館の方に来てくれるかな?そこで詳しい事は聞くよ】

念話をストラトスさんに飛ばしておく…

「先生。この事は」

「わかってるよ。不問にしておいてやるよ」

ストラトスさんからの返事はない…けど。

「それじゃあみんなも大丈夫かな?ストラトスさんも少し手が滑ってスン止めが出来なかっただけだから」

静めておかないと後々、ストラトスさんがいづらくなっちゃうしね

「じゃあ僕は保健室の方に行きます」

「わかった。男子の方には行っておく」

「ありがとうございます」

最後にチラッとストラトスさんの後ろ姿を見て、保健室に向かった


「失礼します」

保健室に入るとアスが椅子に座って暇そうにしていた…

「アス。ミルテの様子は?」

「今、先生が見てくれてる……」

「そっか」

無事だといいけど…

「それよりクロム……。お前、この二年鍛練やってなかったじゃなかったのか…?」

「え?そうだけど、どうして?」

ロンドの魔法補助とかは使ってるけど、鍛練とかはめっきりやってないね…

「ならどうしてあんなに動けるんだ……。少しは鈍っててもおかしくないだろ…?」

「ほとんどはロンドの補助のおかげだよ。それに、鍛練はしてなくても範囲とかはなんとなくでわかるよ」

初等部からずっと鍛錬してたんだ。二年前まではね。そうそう衰えないと思うよ?

「やっぱり化物か……」

「人を化け物扱いしないでくれるかな?」

僕はあんなデタラメな存在になった覚えはないよ

「保健室で一体何の話をしているのよ。貴方たち」

ベッドを覆っているカーテンから先生が出て来た…

「似つかわしくないですか?話の内容」

「するなら保健系の話にしなさい」

「思春期男子に何言ってるんですか?」

「ナニよ」

ホントこの先生って相手しづらい…

「ミルテの様子は……?」

「大丈夫よ。外傷はないし、どこか骨が折れてるわけでもないから。放課後には帰れるわ」

良かった。ミルテに何かあったら、僕とアスがミルテのお母さんに折檻されちゃうよ…

「今、話しても?」

「大丈夫よ。起きてるから」

「俺は先に戻る……」

アスも顔ぐらい見せて行ったらいいのに…

「それじゃあ私も少し席外すけど、私がいないからって襲っちゃダメよ?」

「本気で言ってるんですか?」

「カラかい半分よ」

掴みどころのない人だなー

アスと先生が保健室から出て行く…

「ミルテ。入って大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ」

「じゃあ失礼するよ」

カーテンの中に入る…

「ゴメンね。心配させちゃって」

「大丈夫だよ。でも後でアスにちゃんとお礼言っとかないとね。ここまで運んでくれたの、アスだから」

「うん。そうする」

大丈夫そうだね。外傷や骨折がなくても、体には魔力ダメージが残ってるから、どうかなって思ったけど…

「クロムくん。あの、ストラトスさんの事だけど…」

「わかってるよ。多分、ミルテの戦い方が少し気に障ったんだと思う」

「やっぱりそうだよね…」

ミルテは基本的にはストライクアーツで戦うんだけど、圧倒的戦力差があると、ヒット&アウェイの戦い方に変えるんだ。多分、ヒット&アウェイの戦い方がストラトスさんにはやる気のない、そう見えたんだろうね。

「放課後、改めて話してみる事にしたから。心配しなくていいよ」

「クロムくんがストラトスさんと?図書館のはいいの?」

「図書館で話すから大丈夫だよ。それに滅多に僕に聞いてくる人はいないから」

「そっか…。ゴメンね、迷惑かけて」

少し暗い顔をする…

「そんなに謝らないの。こういう時は、どうするんだっけ?」

「え?あ、うん。ありがとう。クロムくん」

そうそう。こういう時は謝るんじゃなくて、ありがとうって言葉を言った方がいいの。

「じゃあ。放課後はアスが迎えに来ると思うから」

「うん。わかったよ」

ミルテとの話を終え、保健室の外に出ると、

「何やってるんですか?先生」

「ホントに何もしなかったわね…」

悔しそうに唇を噛んでいる先生…

「先生とは一度きちんとお話する必要がありそうです」

「あら。夜のお話ならいくらでもしてあげるわよ?」

「結構です!!」 
 

 
後書き
二話です。

原作キャラを少しだけです。これからは結構入ってくると思いますので、よろしくお願いします

戦闘は…はい。ショボイです。すいません

更新速度はまばらになるので、遅かったり、早かったりします

では次の話で… 
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