冬の蛇
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第一章
冬の蛇
篠崎聡介が蛇を飼っていると聞いてだ、同じ小学校で同じクラスの長谷自由は篠崎にクラスで声をかけた。
「お前の家蛇飼ってるんだよな」
「そうだよ」
篠崎はあっさりとした声で答えた、いささか太っていて丸顔で黒髪を丸坊主に近い感じにしている。優しい穏やかな顔立ちである。
「毒のない普通の大きさの蛇だよ」
「コブラとかアナコンダじゃないのかよ」
「そうした蛇お家で飼えるかな」
痩せて頬が出て細目で黒髪をスポーツ刈りにしている自分と同じ位の中背で痩せた身体の長谷に言った。
「危ないから」
「法律で駄目か?」
「そうじゃない?うちの蛇は普通のアオダイショウで」
この種類の蛇でというのだ。
「大人しいし餌も普通の鶏肉だよ」
「噛んだり襲ったりしないんだな」
「うん、そうだよ」
「そうか。けれどペットに蛇って珍しいからな」
長谷はそれでと返した。
「今日お前の家に行ってな」
「ハナ見たいんだ」
「ハナって蛇の名前か」
「雌だからね」
それでというのだ。
「この名前にしたんだ」
「そうなんだな」
「うん、じゃあね」
「ハナ見ていいか?」
「いいよ」
こう話してだった。
長谷はその日の放課後篠崎の家に遊びに行った、そうしてその蛇を見たが蛇は確かに家にいたのだが。
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