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X ーthe another storyー

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第四十八話 見舞その十五

「それでも集まってもらって」
「それでか」
「お話させてもらうかも知れないわ」
「何の話なんだ」
 草薙は怪訝な顔になって問うた。
「それは」
「その時にお話するわ」
「大事な話なんだな」
「凄くね」
「その話をするかもしれないか」
「ひょっとしたら」
「そうなんだな」
 聞いてからまた言った。
「じゃあその時にな」
「時間を借りるかも知れないわ」
「その時にな」
「またね」
「その話を聞かせてもらうな、ただな」
「ただ?」
「どんな話でも聞いてな」
 そしてというのだった。
「俺も他の奴もな」
「私をなのね」
「信じてるからな」
「仲間だから」
「あんたがどんな人かもわかっているつもりだ」
 それでというのだ。
「何を言われてもな」
「信じてくれるのね」
「ああ、あんたはいい人だ」
「冷たくて威圧的じゃないかしら」
「一見そうでもな」
 それでもというのだ。
「実はな」
「違うのね」
「優しい人だ、思いやりもあってな」
「そうなのね」
「だからな」
 そのことがわかっているからだというのだ。
「あんたの言うことはな」
「信じてくれるの」
「そうさ、どうしても話したいならな」
 それならというのだ。
「話してくれよ」
「そう言ってくれるなら」
「ああ、是非な」
「貴方達が仲間でよかったわ」
 庚は草薙の話をここまで聞いて微笑んで述べた。
「本当にね」
「そう言ってくれるか」
「ええ、それでお見舞いにメロンを持って来たから」
「いいな、メロンも好きなんだ」
 草薙はお見舞いの品を聞いてにこやかに笑って応えた。
「それじゃあな」
「食べてくれるわね」
「二人でな」
「一緒に食べるの」
「俺だけ美味いもの食うのもあれだしな」
 だからだというのだ。
「折角俺の為に持って来てくれてもな」
「独り占めはしたくないのね」
「ああ、駄目か?」
「それも一つの在り方ね」
 庚は笑顔で応えた。
「お見舞いの品の」
「そう言ってくれるか」
「ええ、それじゃあ」
「一緒にな」
「メロンを食べることにしましょう」
「そうしような」
 この話通りだった。
 草薙は庚と一緒にメロンを食べた、二人で美味いと笑顔で話しながらそうした。それは彼にとって実にいい時間であった。


第四十八話   完
 

                    2023・10・15 
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